ODL・トーク Outdoor Life Talk
今回のテーマ
this time theme.
『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』
The fisheries biology and population dynamics of pond-smelt, hypomesus olidus(pallas).
[整理番号:0115]
『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』

架蔵し熟読したいと永らく探求していた、白石芳一博士の『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』を入手した。
『湖の魚』や『養魚学各論』に飽き足らず、本気でワカサギ増殖を志すものにとって、バイブル的文献と呼べる研究報告書が、いくつか存在するようだ。
『ワカサギの漁業生物学』佐藤隆平(1954、1−99pp、水産増殖叢書No.5、東京大学農学部)や、 白石芳一博士の『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』(1961、1−263pp、 淡水区水産研究所研究報告第10巻第3号)が、それらのひとつに該当すると断言しても大方の了解が得られよう。
諏訪湖におけるワカサギの生物学的特性を明らかにし、資源変動を算出し、これを基に 漁況予報と適正漁獲量算定(資源管理)のモデルを示した本報告書のサマリーは、オンラインでも 国立情報学研究所のCiNiiで、閲覧できる(PDFファイル)。

国立情報学研究所 CiNii

fig.01 白石芳一博士の
『ワカサギの水産生物学的
ならびに資源学的研究』
fig.01 白石芳一博士の『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』
白石芳一博士が、日本水産学会賞1963(昭和38)年度を受賞し、 京都大学から農学博士の学位を授与されたのもこの研究業績によるものだ。
折に触れ、現業の傍ら、こうした先人の研究業績を踏まえなければ、 たとえ、ワカサギ増殖に懸ける熱意と時間を持つ内水面漁業協同組合関係者であっても、 手探りで進まざるを得ず、業務の安定的完遂は困難であることが容易に想定できる。

入手した本報告書は、白石芳一博士(1916−1972、享年55歳)が著し、 建設省委託「木曽三川河口資源調査団(通称KST、1963〜1967年度)」団長として高名な 小泉清明先生(信州大学教授・理学博士)に謹呈され、 小泉清明先生(1903−1977、享年73歳)没後、御遺族の方が蔵書を一括して本郷の考古堂書店に売却され、 当時これを一括購入した神奈川の某氏より、20年後、よしさんに惜譲頂いたものである。

著者が、一度は手に取った、由緒正しき1冊(淡水区水産研究所研究報告第10巻第3号別刷)が、 発行から46年間の紆余曲折を経て、今日、よしさんの手元に辿り着いた。
真に奇縁で喜ばしいことであり、且つまた文献の長寿に驚かされる。

この上は、存分に活用せねば、学術成果をあげた著者はもとより、発行から今日まで46年間の 保存努力関係者にも失礼にあたる。
白石芳一博士の『ワカサギの水産生物学的ならびに資源学的研究』には、学術 文献収集の難儀と喜びを経験させてもらった。
手元でワカサギ増殖事業の各場面に 活躍頂き、よしさんの没後、志あるどなたかの蔵書となって四度活用されることを願いたい。
  牛久沼漁業協同組合顧問よしさん

Let's enjoy life to the full.
Updated.2007年08月01日発表
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