[整理番号:0114]
あっと驚く、亀山湖のオオクチバス仔魚
写真の仔魚(fig.01)は、亀山湖における定期プランクトン調査で、偶然にも自作プランクトンネットに入った3尾の内の1尾です。
顕微鏡下で発見した時には、よしさんも驚きました。
掲載写真は、パソコンのモニターに収まるよう、5枚の顕微鏡写真を合成し、さらに縮小してあります。
fig.01 亀山湖のオオクチバス仔魚
採取:2007年05月26日(土)○満水 千葉県亀山湖(角柳)
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仔魚の全長は5mm、卵黄はすでに消費され、脊椎骨の下側に、浮き袋が見えます。
口は完成し(開き)、食道から浮き袋の下側を通り肛門に続く腸管もあり、腸管内に餌料プランクトンのようなものが見えます。
体の周囲に透明で薄い一体もののヒレが見えますが、背びれ・尻びれ等の分化や尾びれ軟条の発生はこれからです。
プランクトンネットに捕捉されたことから、遊泳力はほとんどないものと思われます。
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手元の資料(※1)で、ハゼ科の仔魚に似ているように感じましたが、同定を千葉県水産総合研究センター
内水面水産研究所(旧内水面水産試験場)に依頼したところ、専門的資料(※2)からサンフィッシュ科の仔魚で、
黒色素胞が見えづらいが、オオクチバスの仔魚であろうとの、回答を得ました。
ふ化数日目のオオクチバス後期仔魚の顕微鏡写真(fig.01)は珍しく、初見の釣り人も多いことと思います。
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もっと成長し、親魚に守られている段階の稚魚(fig.02写真)は、釣り人なら良く目にするところでしょう。
fig.02 亀山湖のオオクチバス稚魚
撮影:2007年05月26日(土)○満水 千葉県亀山湖(神社下)
同日実施した、亀山湖における定期プランクトン調査結果
『亀山湖牛久沼ワカサギ情報』「ふ化放流ノート」参照
と照合すると、湖水中に原生動物のボルボックス属が圧倒的に優占しており、オオクチバス後期仔魚(fig.01写真)の
餌料となり得る動物プランクトンは、種類こそ多様ですが量は少ないことが判ります。
さらに、同時期の亀山湖には、オオクチバス成魚・ブルーギル成魚・エビ類・ワカサギ幼魚・コイ・ニゴイ等の肉食性捕食者が存在し、
オオクチバス後期仔魚(fig.01写真)の生残率は高くないものと推定されます。
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動物プランクトン(ツボワムシ・ゾウミジンコetc)は、肉食性動物プランクトン(ケンミジンコ・オナガミジンコ・ノロetc)に喰われ、
肉食性動物プランクトンは、仔稚魚に喰われ、仔稚魚とて、肉食性成魚に喰われます。
オオクチバス(仔魚)がワカサギ(幼魚・2年魚)に喰われ、ワカサギの命を養っている場面もあり得ます。
喰うものが喰われ、喰ったものの命を養う。
食物連鎖は海水魚と同じです、自然界の輪廻を感じますね。
(※1)
『原色日本淡水魚類図鑑』宮地伝三郎ほか(1981年、保育社、¥4300)
(※2)
『日本産稚魚図鑑』沖山宗雄(1988年、東海大学出版会、¥18000)
thanks CHIBA PREFECTURE Fisheries Research Center Fresh-water Station Mr.k.ai, yoshisan.