ODL・トーク Outdoor Life Talk
今回のテーマ
this time theme.
『亀山湖の釣り場づくり』(報告概要)
The making of fishing scene of Lake Kameyama(A report summary).

A fishing problem meeting report of 12 times eyes.
[整理番号:0113]
『亀山湖の釣り場づくり』(報告概要)

★第12回釣り問題研究会

第12回釣り問題研究会は、2007年04月21日(土)東京海洋大学で開催された。
共通テーマ「我々の釣り場づくり」の下、よしさんは『亀山湖の釣り場づくり』を報告した。
当日参加できなかった人を思い、心を痛めていたところ、
つり人社『Basser』への報告概要掲載を 薦められ、愛読者へ直接届くこと、転載させて頂きインターネットなら国外からも「後日参加」の道が拓けることを 思い、即決した。
大変、ありがたいことである。

『亀山湖の釣り場づくり』

『亀山湖の釣り場づくり』
『亀山湖の釣り場づくり』

第12回釣り問題研究会は、2007年04月21日(土)東京海洋大学で開かれた。
共通テーマ「我々の釣り場づくり」の下、よしさんは『亀山湖の釣り場づくり』を報告する機会を 得たので、その概要を紹介したい。

(1)夢の舞台・亀山湖
釣り人の間で、夢の舞台・50アップのふるさと・日本記録の有力候補ダムとも呼ばれる亀山湖は、 千葉県が1979(昭和54)年に完成した、直線重力式コンクリート製多目的ダム(亀山ダム)の 貯水池である。
温暖な房総半島中央部・千葉県君津市の小櫃川上流に位置し、最大水深29m(洪水時満水位標高 84.0mと、河床高標高55.0mの差引)、湛水面積1.39km、総貯水容量1475万 mと、千葉県最大の人造湖として知られ、大型魚を多数輩出している。

(2)風土と地域コンセンサス、観光と漁業(遊漁)の融和
今から34年前、1973(昭和48)年04月の、地権者代表と千葉県の承諾書交換をはじめ、 続く05月の、亀山ダム特別委員会(鴇田五兵衛委員長・地権者346人)と千葉県の田畑・山林・ 原野用地買収に関する「亀山ダム建設用地提供に関する協定書」調印・交換。
また、君津市との「亀山ダム付替市道等に関する協定書」(道路・揚水機場)の締結等にあたり、 地権者間の議論・意見調整・対外交渉・地権者への報告を通じ、地域のコンセンサスづくりを強い られ、幾度も実践しつつ、その手法をも学ぶ契機となった。
同時に、出現する湖面に係わる生業のありようが、方向づけられた地域と言える。
余談ながら、鴇田五兵衛委員長(元小櫃川漁業協同組合組合長理事・故人)のご子息は、亀山温泉 ホテル代表であり、他のご子息は、ペンションかめやま園代表である。
ダム建設により、亀山湖エリアの主要産業は、農林業から湖面利用の観光漁業(遊漁)へと大きく 転換し、観光と漁業(遊漁)は、表裏一体となり融和している。
今日まで反復継続されている地域のコンセンサスづくりは、多種多様な地域団体が協力するイベント にうかがうことができる。
例えば、今年第27回を数える「亀山湖上祭・君津市民花火大会(08月04日予定)」であり、 紅葉を愛でる「亀山オータムフェスティバル2008」である。
開催に充分なコミュニケーションとコンセンサスが求められることは、容易に理解できよう。

亀山湖スプリングフェスティバル新緑クルーズ
(F.コテージつばきもと)
亀山湖スプリングフェスティバル新緑クルーズ(F.コテージつばきもと)

(3)「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」をめぐる、亀山湖の対応
2005年の「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の「オオクチバスを 特定外来生物に指定」前後の亀山湖エリアの対応を振り返ってみよう(パブコメを除く)。

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2005年01月28日 内閣総理大臣・環境大臣・農林水産大臣へ「オオクチバスを特定外来生物に指定しない旨の」要望書提出
2005年02月07日 君津市へ「オオクチバスを特定外来生物に指定しない旨の」請願書提出
君津市観光協会亀山支部・亀山湖観光事業協同組合・亀山湖釣舟協会・片倉ダム観光事業協同組合・笹川湖釣舟協会・ 小櫃川漁業協同組合・君津商工会議所観光業部会・木更津食品衛生協会上総支部・亀山旅館組合・亀山商店組合の10団体連名
2005年03月25日 君津市議会で請願書可決
2005年03月28日 内閣総理大臣・環境大臣・農林水産大臣へ君津市より意見書送付
2005年04月22日 閣議決定
2005年05月17日 第1回オオクチバス等防除推進検討会・環境省・よしさん傍聴
2005年05月27日 第2回オオクチバス等防除推進検討会・新宿御苑・よしさん傍聴
2005年05月28日 環境省・釣り人向け説明会・新宿御苑・よしさん参加
2005年06月01日 施行
2005年06月02日 地元(亀山湖エリア)報告会&対策会議・亀山会館・よしさん報告
2005年06月06日 千葉県の方針確認・千葉県議会棟某政党応接室
千葉県自然保護課3名・千葉県漁業資源課3名・県議1名・君津市観光協会亀山支部支部長・君津市観光協会亀山支部副支部長・ トキタボート・F.コテージつばきもと・のむらボートハウス・おりきさわボート・レンタルボートよりとも・レンタルボートすずき・ レンタルボート笹川・よしさん出席
千葉県より「千葉県北部での漁業被害は、ほとんどなくなった」
「防除の必要性は高くない」
「キャッチ&リリース禁止は考えていない」と考えが示された
2005年06月07日 「オオクチバス生体持出し禁止」看板を、湖畔各所とオンライン(「ザ・レイクチャンプ」に掲示)
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「オオクチバスを特定外来生物に指定しない旨の」要望書と請願書に、漁協組合長も名を連ねて いることで、当時有識者にインパクトを与えたように記憶している。
しかし、亀山湖エリアでは、観光と漁業(遊漁)は同義語に近いから、至極当然の成行であった。
もうひとつ、裏話を揚げておくなら、上述した「オオクチバスを特定外来生物に指定しない旨の」 要望書・請願書の作成がある。
今もオンライン(「ザ・レイクチャンプ」等に掲示)で閲覧できるこの文章は、よしさんが正味 2時間で作成したものだ。
地域事情を熟知し、世論に窮状を訴えるべく、一気に書きあげることが可能であったのは、観光 と漁業(遊漁)が融和し、日頃から地域の関係者間におけるベクトル合わせが、できていたこと に尽きる。

(4)漁業権と放流事業
小櫃川上流の亀山湖を含む小櫃川全域は、小櫃川漁業協同組合が第5種共同漁業権を持つ、漁場 である。
漁業権魚種の内、稚魚・成魚を購入し放流する魚種に、アユ・コイ・フナ・ウナギ・ニジマスが あり、産卵場を整備するものにオイカワがある。
また、卵を購入し放流する魚種にワカサギがあり、漁協の放流魚種別支出費用の最多はワカサギ である。
冬季の顧客誘致対策資源として、ワカサギは有用で、小櫃川漁業協同組合は、永年にわたり諏訪 湖産受精卵の放卵(湖面浸漬)を実施してきた。
しかし、湖水の懸濁物や水かび付着によるふ化不良・近年の入荷ゼロという事態に、新しい対策 を余儀なくされた。
状況を憂慮し打破するため、2004年01月の亀山湖釣舟協会向け「第3回ボート店向けイン ターネット講座」の「冬将軍」で、「ワカサギ増殖のすすめ」を進言した。
2005年には亀山湖の関係者揃って、東京海洋大学工藤先生の「ワカサギ特別講座」を受け、 先生のご同行により、霞ケ浦漁業協同組合連合会に従来法を伺い、また、芦之湖漁業協同組合 大場組合長・橘川事務局長のご好意により、芦ノ湖方式の見学も実施した。
千葉県水産総合研究センター(旧内水面試験場)を訪ね、研究員を招聘し、ワカサギ増殖先端技 術を学ぶとともに、彼我の環境条件・経営資源の相違から、芦ノ湖方式を基本とする亀山湖アレ ンジ版の導入が選択され、よしさんは2005年末から2006年正月を返上し、全体のシステ ム設計に没頭した。
2006年01月、小櫃川漁業協同組合にワカサギ卵ふ化装置導入プロジェクトチーム(チーム リーダーよしさん)が発足し、同年03月、2つの特徴を持つ「ワカサギ卵ふ化装置」の竣工を みた。
ひとつは、人造湖特有の比高差(10m)の克服であり、2つは、湖水の除濁使用である。
従来法と併せ、網走湖産ワカサギ卵を用いる「ふ化器法」の稼動により、「だろう・と思う」推測 の世界から、目視確認できる事実の世界に漕ぎつけた。
さらに、湖水中の初期餌料プランクトン(ワムシ類)の有無と変遷、魚群探知機や釣獲による資源 管理手法の導入により、ギャンブル的焼畑農業感覚のホットケメソッドから、経営カウントできる マイルストーン管理への移行がなされた。
同時に魚卵仕入価格の大幅低減は、漁協経営バランスシートを将来に亘って大幅改善する礎になった。

亀山湖の大型ワカサギ
亀山湖の大型ワカサギ

(5)釣り人を迎える基本ポリシーとツール
釣果記録が魚拓の時代を経て、インスタント写真が全盛だった2000年04月に「第1回ボート 店向けインターネット講座」が開かれ、パソコン及びデジタルカメラ導入・ブラウザーと電子メー ル習熟による釣果情報のオンライン共有化を提案した。
その後、F.コテージつばきもとを皮切りに、亀山湖釣舟協会全店に順次パソコン関係設備が導入 され、釣果情報のオンライン共有化・スピード化が達成された。
「ザ・レイクチャンプ」への掲載報告は、写真提供ボート店(to配布)のみならず、全店に電子 メール(cc配布)で即日伝わり、どのボート店も亀山湖全体の釣果を座して把握できる、アンサ ーバックによる副次的効果をもたらした。

顧客満足度の向上を念頭に、事前・当日・事後と3回楽しめる釣りを提供するため、オンライン・ ツール「ザ・レイクチャンプ」がインターネットに創設された(1996年)。
どこが亀山湖のポイントか一目瞭然のポイント図、図中のクリック箇所を写真で示し、湖底の3D イラストが現れる仕掛け、連続クリックして追求する楽しみは「デプスファインダー」の役割、 イメージを膨らませるツールだ。
初めてボート店に到着し、まごつくのは、駐車場・受付・桟橋であろう。
「関係図」は、駐車場とボート店と桟橋の位置関係を明示し、潜在顧客の小さな悩みも事前解決す るツール。
「レンタルボート種類別垂直写真」は、ボート内の釣り道具セッティングのイメージトレーニング 用に、床面が映るよう撮影されている。
もっと深く事前に楽しみたい釣り人には、有料で恐縮だが「会員ページ」が用意されている。
そこに、「亀山湖歴代50アップリスト」「亀山湖歴代月別釣獲グラフ」「亀山湖歴代50アップ 釣獲ポイント図」「大潮の日は釣れるのか」「白鳥島の法則」等、科学的態度に基づく亀山湖の釣 り関係データが集積公開されている。

当日の楽しみを事後に反芻し、再確認することも楽しい。
鮮度の高い釣果写真は、随時掲載され、釣り仲間・職場・遠隔地の家族知人にも、吹聴する楽しみ がある。
亀山湖の釣りを巡るオンライン・ツールは、ボート店・釣り道具店・釣りクラブ等により最近順次 開設されるまでになった。
一方、亀山湖エリアの観光を巡るオンライン・ツールも、よしさんの提唱で2003年07月に、 君津市観光協会亀山支部が「房総かめやま」を開設し、それぞれの分野を伝えている。
充分な質量の情報開示が心がけられ、釣り人(遊漁者)に喜んでもらえる、より良い亀山湖づくり は、地域の願いである。
更新した「ザ・レイクチャンプ」を金曜夜に7軒分印刷し、毎週土曜日現地ボート店へ持参配布・ 店内掲示して頂いたことは、もう昔話である。

【よしさんプロフィール】
1951年千葉市生まれ、千葉県四街道市在住
★幼少時より亡父に釣りとアウトドアー技術を習う
★1983年 亀山湖でルアー釣り
★1996年 「ザ・レイクチャンプ」http://lake-champ.com/ 創設:主宰(現在)
★1997年 亀山湖フィッシングコテージつばきもとインストラクター(現在)
★2003年 君津市観光協会亀山支部ホームページ開設(管理・現在)
★2005年 「亀山湖牛久沼ワカサギ情報」http://wakasagi.jpn.org/ 開設:主宰(現在)
★2005年 ブログ「亀山湖よしさん」http://kameyamako.sblo.jp/ 開設:主宰(現在)
★2006年 小櫃川漁業協同組合ワカサギ卵ふ化装置導入プロジェクトチームリーダー
★2006年 牛久沼漁業協同組合顧問(現在)
★2006年 牛久沼漁業協同組合ホームページ(管理・現在)
★2007年 牛久沼漁業協同組合ワカサギ受精卵暫定ふ化設備導入担当

※『亀山湖の釣り場づくり』のレジメと当日のQ&Aは、ODL・トーク(No.0112)『第12回釣り問題研究会参加報告』 をご覧頂きたい。

【本稿は、釣り月刊誌『Basser』No.187(第21巻第31号通巻190号、2007年07月01日発行、つり人社)用に報告内容を再構成し書き下ろしました。 株式会社つり人社のご厚意により、「ザ・レイクチャンプ」に転載させて頂くものです。 同書(書店・釣具店で05月26日より発売中、¥680)では、『千葉県亀山湖の釣り場づくり』として掲載(150-151pp) されています。】  2007年06月01日 thanks Tsuribito-sha Mr.k.kanazawa, yoshisan.

会場での報告、前回「ODL・トーク」でのレジメ掲載、 つり人社『Basser』 竢o版社『月刊バスワールド』2007 No.132(第11巻第12号通巻175号、2007年07月01日発行、¥700、117pp)、 『釣りビジョン・アングラーズビデオクラブ』(2007年05月04日21:00〜)オンエアー、 等の紹介記事・紹介番組と併せ、
『亀山湖の釣り場づくり』の各事例から見えてくる含意が「あなたの釣り場づくり」に 役立てば嬉しい。 

2007年06月01日 thanks Ei-syuppansha Mr.h.furuta, & Fishing vision Mr.t.tani, yoshisan.

※次回、第13回釣り問題研究会(2007年06月23日)は、「漁業調整委員会とは何だろう?」のテーマで、 釣り問題研究会水口憲哉先生が『内水面漁場管理委員会委員になって』を、遊漁船業法研究会鈴木利久さんが 『海区漁業調整委員会を傍聴して(仮題)』を報告の予定。
諸兄もぜひ、釣りの未来を語りに、ご参加下さい。
 亀山湖F.コテージつばきもとインストラクター よしさん

「ザ・レイクチャンプ」よしさん
「ザ・レイクチャンプ」よしさん 写真撮影: 「裏磐梯アングラーズプレス」主宰・編集長:浦伴 大氏
Let's enjoy life to the full.
Updated.2007年06月01日発表
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