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第12回釣り問題研究会参加報告
A fishing problem meeting report of 12 times eyes.
[整理番号:0112]
第12回釣り問題研究会参加報告

★第12回釣り問題研究会

第12回釣り問題研究会は、2007年04月21日(土)東京海洋大学で開催された。
共通テーマ「我々の釣り場づくり」の下、
1『亀山湖の釣り場づくり』を、「ザ・レイクチャンプ」よしさんが
2『釣り場づくりの原動力−山梨県小菅川を事例として−』を、東京海洋大学・工藤貴史先生が、それぞれ報告した。

1『亀山湖の釣り場づくり』

「ザ・レイクチャンプ」よしさん
「ザ・レイクチャンプ」よしさん 写真撮影: 「裏磐梯アングラーズプレス」主宰・編集長:浦伴 大氏

よしさんは、初期には釣り人として、1996年以降は釣り人を迎える側として、亀山湖に関わってきた。
1996年に「ザ・レイクチャンプ」を開設。
2000年の「第1回ボート店向けインターネット講座」で、パソコンとデジタルカメラの導入・ブラウザーと電子メール の習熟等の進言をした。
釣りの記録は魚拓が下火になり、インスタント写真の全盛時代、亀山湖釣舟協会全店にパソコンが1台も なかった頃のこと。
データ共有のためにインフラ整備を説き、全店のモール構築に奔走した。
オオクチバス釣りのみにこだわらず、ヘラブナやワカサギも含めた釣り分野と、イベント開催等の観光分野 をあわせ、広義の『亀山湖の釣り場づくり』を提案し、地域の人々と実践してきた。
今回は、その事例のいくつかを『亀山湖の釣り場づくり』として報告する機会であった。
報告の概要は、「つり人社Basser」近刊に掲載予定(後日本欄にも転載)で、ここでは当日のレジメとQ&A を紹介したい。

【『亀山湖の釣り場づくり』レジメ】
亀山湖フィッシングコテージつばきもとインストラクター
牛久沼漁業協同組合顧問 吉田義明(よしさん)
主宰HP
 http://lake-champ.com/
 http://wakasagi.jpn.org/
 http://kameyamako.sblo.jp/
管理HP
 http://www.mmjp.or.jp/kameyama-no-sato/index.html
 http://www.ushikunumagyokyo.or.jp/

0 イントロ
0-1 亀山湖の位置
0-2 亀山湖の主要緒言概要
0-3 亀山湖の漁業権と漁場
0-4 亀山湖の管理・経営形態

1 釣り場づくりの具体的展開(現場努力の事例紹介)
釣り人に見えること

1-1 ○釣り場ポイント図の無料配布(オンライン&ボート店)
1-2 ○最寄JR駅・高速バス停への送迎(無料)
1-3 ○立入禁止区域の設定(落石)
○各ボート店桟橋相互乗り入れ・トイレ・自販機・レストラン利用(自由)
1-5 ○各ボート店常連客提唱の釣りクラブ育成
1-6 ○釣りクラブ・ボート店主催トーナメントの開催(オオクチバス・亀山湖巨べら会)
1-7 ○他の釣り団体主催トーナメントの誘致・開催
(JB・NBC・B.A.S.S.OFJAPAN・NEO−HERA他)
1-8 ○フィッシング・インストラクター(F.コテージつばきもと)
1-9 ○ノベルティー

釣り人に見えにくいこと
1-10 ○アドリブの全店参加作業&ダム管船
降雨増水時の流木除去・航路確保作業、増減水時の桟橋応急修理作業
1-11 ○ボート店インターネット講座
(@2000年04月06日A2001年07月15日B2004年02月08日)
パソコン導入・ブラウザーと電子メール習熟
魚拓・ポラロイド写真から、デジタル写真へ
アンサーバックによる釣果情報の共有化→顧客サービス
釣果情報のスピード化→顧客サービス
ワカサギ増殖のすすめ(冬将軍)
全ボート店へ、著書の寄贈
全ボート店へ、マルチ型デジタルカードアダプターの寄贈
○「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」関連
1-12 2005年01月28日 首相他閣僚へ、いちはやく要望書を提出
1-13 2005年03月25日 君津市へ請願書提出・君津市議会採択
1-14 2005年06月06日 千葉県の方針確認(自然保護課・漁業資源課)
1-15 2005年06月 生体持出し禁止看板設置(オンラインにも)
○下船時刻の湖上パトロール(各店)
○釣魚の増殖放流
1-16 アユ・コイ・フナ・オイカワ・ウナギ・ニジマス(稚魚・成魚を購入して放す魚種)
1-17 ワカサギ(卵を購入し、ふ化させ、育てる魚種)
2005年01月07日 冬将軍・続編
2006年01月〜03月 ふ化設備建設導入
従来法から亀山湖方式導入へ
(ホットケメソッドからマイルストーン管理へ)
卵とふ出仔魚の目視確認
遊泳仔魚確認
初期餌料プランクトンの確認
遊泳稚魚成魚確認
1-18 ○湖畔整備・維持管理
草刈・公衆トイレ

2 釣り場づくりを醸成する風土
2-1 亀山ダム建設と、地域の合意形成(地域の性格的特徴・背景・歴史)
2-2 観光と漁業の融和
2-3 地域の合意形成手法の継続と熟達
異業種・産学官連携

3 釣り人を迎える基本ポリシーとツール
事前・当日・事後と、3回楽しめる釣りを提供し、顧客満足度の向上を目指す
3-0-1 デプスファインダー(クリックして追求する楽しみ)
3-0-2 駐車場とボート店と桟橋の位置関係は、どうなっているの
ボート内のセッティングを、どうしようか
3-0-3 もっと事前にたのしみたい
「ザ・レイクチャンプ」会員専用有料ページより
本日のみ公開(メディアへの転載公開は禁止)
亀山湖歴代50アップリスト
亀山湖歴代月別釣獲グラフ
亀山湖歴代50アップ釣獲ポイント図
大潮の日は釣れるのか
3-1 当日の楽しみ
3-2 事後、再確認・吹聴する楽しみ
3-3 亀山湖オンライン・ツールの、まとめ

4 未来に向けて
(よしさんの3つの提言)
科学的態度に基づく、データ公開の継続
ワカサギ卵自家調達の探求と試行、及び、増殖技術の習熟
マルチ型人材確保と権限委譲

司会の東京海洋大学・水口憲哉名誉教授
司会の東京海洋大学・水口憲哉名誉教授
【Q&A】
Qオオクチバス釣り人とヘラブナ釣り人の、ぶつかりはないか
Aお互いの釣りを尊重しあい、特に問題はありません
Q釣り場の竹ざお設置は、ボート店の判断か亀山湖釣舟協会全体の判断か
Aボート店の判断(と思われます)
Q亀山湖は漁業権を放棄していないのか
A漁業権は放棄していません
Q亀山湖の水位調整の事前連絡は、どうなっているのか
Aダム管理事務所より漁協へ、操作の連絡が入ります
Q魚の増殖に、水位変動の悪影響はどれほどであるか
A水位変動は、あまりありません
Qワカサギふ化装置の写真を、もう一度見せて下さい
A(写真を映写し)いわゆる芦ノ湖方式です
Q動物プランクトンに関連して、生物相の遷移はありますか
A残念ながら、亀山湖におけるデータ集積が不十分で、まだ判断できません
○亀山湖は釣り主体の観光業で、地域振興(売上)できている。 野尻湖関係者や、ダム建設主管省が聞いたら喜ぶ事例報告内容だ。

2『釣り場づくりの原動力−山梨県小菅川を事例として−』

東京海洋大学・工藤貴史先生
東京海洋大学・工藤貴史先生

工藤先生は、奥多摩湖の上流・山梨県小菅村の小菅川を漁場とする 小菅村漁協(小菅村観光協会内)における、 釣り場づくりを報告された。
小菅村は人口985人、漁協組合員149人、マス類養殖業・観光関連業を基幹産業とし、東京都に隣接している。
漁協は、村営釣り場・小菅川キャッチ&リリース区間設定・小菅川源流域匹数制限区間設定・小菅川冬季ニジマス釣り場設定・ 小菅川擬似餌専用区間設定・管理釣り場開設等のマス類釣り場づくりを進めてきた。
その結果、遊漁券売上は(1998年と2005年を比較して)日釣券は減少したものの、年券は減少していない。
釣り人へのアンケート調査から、「東京都に住む、40才代で、フライフィッシングに、年間2回以上訪れる」コアとなる釣り人像も把握し、 リピーターの確保はできている釣り場、と報告がなされた。

さらに、小菅村漁協における釣り場づくりの原動力にも踏み込まれ、
○地域活性化(マス類養殖業振興・観光業振興)
○釣り場づくりの愉しみ(釣り人との交流)
○ヨソモノの存在(堀江氏・若林氏・釣りクラブ)
を、揚げられた。

これを踏まえ、この原動力から見えてくる、政策的含意を、
○現行法においても、原動力さえ確保されれば、良い釣り場づくりは可能である(要は人)
○釣り場づくりの理念が示されたとしたら、原動力の乏しい内水面漁協に対して、何らかのテコ入れ(施策)が必要
○釣り場づくりに対する、客観的評価の必要性
○評価のものさしは、理念に従って、漁協の役割・組織の性格・組合員資格について再考すべき
ではあるまいかと、考察された。
工藤先生は、
「良い釣り場をつくろうとする原動力が、内水面漁協にあるのか」
「組合員の高齢化・ボランティア作業で人を動かせるのか」
「増殖義務と遊漁規則は、排他性と公共性の二面性を持ち、(それだけでは)より良い釣り場づくりの原動力にならないのではないか」
と、総論で述べられた。
この見方には、よしさんも共鳴できる。
「釣り場の質、釣りの内容は自然環境条件のみならず、内水面漁協の能力や志向によっても規定される」
だからこそ、約60年前の世情にあわせ法制化された、内水面漁業制度や内水面漁協の組合員資格の見直し改正論を、 よしさんは支持したい。

※次回、第13回釣り問題研究会(2007年06月予定)は、東京海洋大学水口憲哉名誉教授が『遊漁者から見た漁場管理委員会(仮題)』を報告の予定。
諸兄もぜひ、釣りの未来を語りに、ご参加下さい。
 亀山湖F.コテージつばきもとインストラクター よしさん

Let's enjoy life to the full.
Updated.2007年05月01日発表
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