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第3回遊漁施策等に関する研究会参加報告
A meeting for the study participation report about No. 3, a fishing measure.
[整理番号:0103]
第3回遊漁施策等に関する研究会参加報告

第3回遊漁施策等に関する研究会は、2005年11月05日(土)東京海洋大学にて開催された。
漁業経済学会が主催、水産庁の協賛する2005年新規事業「遊漁施策等に関する研究会」(公開)は 「遊漁に関する実態の把握と情報交換を行うとともに、今後の遊漁に関する施策のあり方等を議論する」 場で、今回の統一テーマ「内水面の遊漁」に関する4題をよしさんも傍聴した。

1「内水面の遊漁をどう見るか」水口憲哉(東京海洋大学名誉教授)
釣り人・漁協・行政・研究者、それぞれの関係者は、内水面の遊漁をどう見ているのかという観点から、 具体的で鋭い分析(同時に問題提起でもある)が発表された。
それらの解決策の例として、
@アユ、サケ、サクラマスの遡る川
A子供達のバスポンド作り
B宍道湖・中海、東京湾、大阪湾等のシーバス・フィッシングエリア化
Cトローリングの漁業との資源の合理的配分による共存
その他を釣り人の手で作ることが提案され、とても興味深い内容であった。

東京海洋大学
水口憲哉名誉教授

配布された資料にも見るべきものがあった。
例えば、県別内水面漁協数と漁業権魚種リスト(佐久間信弥・水口憲哉:2004、初稿・原題なし) は、コイ・フナ・ウナギ等漏れている漁業権魚種もあるが、目的によっては使える解析である。
欲を言えば、1949(昭和24)年から年度別にこの資料がまとめられ、順次公表されるような 仕組みこそ、釣り人が望みたいインフラのひとつだと、よしさんは考える。

2「釣り人と漁協」柳沢政之(上州漁業協同組合組合員)
漁協地区役員(ボランティア)の経験に裏付けられた様々な事例紹介(現状の問題提起)があった。
釣り場管理への要求(漁協を変えて行く)の解決策として、
@漁協情報の公表・伝達(紙媒体・集会・ホームページ)と適切な評価
A釣り人と漁協の情報共有化
B釣り人による資金・労力・アイデアの提供、働きかけ
C現役の釣り人が漁協へ加入する(準組合員の道もあり)
が提案された。

上州漁業協同組合
地区役員柳沢政之さん

釣り人として、ホームページ管理者として、ワカサギ卵ふ化増殖提案者として、ご当地亀山湖・笹川湖を 管轄する小櫃川漁業協同組合と袖すり合うご縁のよしさんには、到底他人事とは思えなかった。
資金力とマンパワーの乏しい大方の内水面漁協に共通した、悲痛な叫びと聞こえた。
既に頑張っている人に重ねて頑張れとは言えないから、柳沢さんお疲れ様と申し上げておこう。

3「釣り人と遊漁制度」來田仁成(社団法人全日本釣り団体協議会専務理事)
内水面の釣りの現状認識・内水面漁協が果たしてきた役割を踏まえ、 必要な制度について考えなければならない時期との問題提起がなされた。
その問題解決の方向性として、
2005年02月08日、水産政策審議会に水産政策審議会特別委員として提出済の 「内水面漁業における増殖義務に関しご検討のお願い」を引用され、 漁業法の一部改訂(増殖に加え、維持管理を追記)による新たな秩序制度の形成が不可欠との提案があった。

全日本釣り団体協議会
來田仁成専務理事

内水面漁協に新たに若い人々が参加できるような改革、地元だけでなく近隣の釣り人も漁協に参画できる方法 を考えて行くべきとは、大いに共感し賛同する方向性である。

4「種苗放流の現状と問題点」中村智幸(中央水産研究所内水面研究部)
ニジマスは昭和初期から国策として種苗放流され続けていること、その後昭和40年代から養殖技術確立に伴い イワナ・ヤマメ・アマゴに代表される渓流魚の放流が開始された経緯の報告があった。
また、放流の問題点は技術・遺伝・生態・病理・社会の5つの角度から分析された。
法的分野(行政)での問題解決の手法として、
放流・産卵場造成・堰の下に滞留している魚の堰上への持ち上げ以外に、禁漁期や禁漁区の設定・体長や尾数の制限 ・漁具漁法の禁止や制限・生息環境の保全や改善なども増殖義務として認めるような、 増殖義務の定義変更の提案があった。

中央水産研究所内水面研究部
中村智幸主任研究官

放流が義務づけられ、漁協は養殖魚を入手して放流せざるを得ない現行制度と、遺伝的多様性の保全 (地域在来遺伝子の保全)との間に矛盾がある、との指摘は研究者としてもっともなことである。
全ての漁協に、自らの水域に生息していた(地域在来遺伝子を持つ)親魚を元に仔魚を得られる技術力・ 資金力を期待することは困難であろう。
漁協はどこから、ニジマス・イワナ・ヤマメ・アマゴや、フナ・ウナギ・ワカサギの仕入れをしたら良いのか、 難問山積みである。
勉強を続け、亀山湖・笹川湖を良い釣り場にしたい
発表に続き、傍聴者を含めたディスカッションの時間が持たれた。
準組合員の法的根拠につき、水産庁桜井釣人専門官より、水産業協同組合法(昭和23年法律第242号) 第18条5のーに規定される、との参考資料説明があった。
茨城県から参加された牛久沼漁業協同組合の堤組合長から、ブラックバスは雑魚として分類し入漁料を得、 それを原資に在来種も放流してきた事例や、全国内水面漁連大会(2005年09月・幕張メッセ)で 諏訪湖産ワカサギ卵出荷全面停止につき、執行部に質問したが回答がないままであることの経緯紹介があり、 ここにも活力ある漁協ありと、心強く思った。

その道のエキスパートのお話が聴講できる「遊漁施策等に関する研究会」。
ありがたいことである。

★群馬県漁業協同組合連合会/上州漁業協同組合含む(別窓が開きます)
★社団法人全日本釣り団体協議会(別窓が開きます)
★独立行政法人 水産総合研究センター 中央水産研究所(別窓が開きます)
Let's enjoy life to the full.
Updated.2006年03月01日発表
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