[整理番号:0094]
愛知県富山村で唯一の金融機関が、郵便局だという。
銀行のない村で、この郵便局が民営化され、営利追求上廃止
されたなら、困る人々がいる。
村の公金管理をはじめ、納税・貯金・送金・年金受取等である。
そういう懸念の声を結果的に無視して、某党郵政改革関係合同部会は座長の「了解したい」宣言
で打切られ、他与党との郵政改革協議会で「合意」され、
某党政調審議会の「了承」を経て、某党総務会では「内容は了承せず、国会提出のみ了承」の
変則結論があり、臨時閣議で「決定」。
郵政民営化関連6法案は国会審議へとおくられた。
その際、首相は「要は、成立させることだから」と発言しているが、
国会での混乱・紛糾は必至の状況にあり、怒号渦巻き、物が飛ぶ採決場面も想定される事態である。
☆
議論を尽くしたとは言いがたく、座長・会長の打切り・強行、責任者の発言・・。
どこかで聞いた話と、似ている。
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環境省オオクチバス小会合でのさらなる検討を要する旨の委員「合意」、3日後に環境大臣の「法律の目玉だからオオクチバスを指定せよ」発言、
それを受けた魚類専門家会合での「指定候補」への選定・・。
オオクチバスのもたらす、地域経済効果がなくなれば、困る人々がいる。
そういう懸念の声を無視して、某御用学者らは研究成果を積上げる本来の守備範囲を超えて、
専門家会合が陽の目の当たる、議場であるかのごとき、大はしゃぎ・・。
パブリックコメントに応募された、オオクチバス指定反対意見約10万通を踏みつけて、第1義は特定外来生物と環境省の強弁。
これが「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」の
特定外来生物に、オオクチバスを指定候補とした経緯である。
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哲学者・鷲田教授は言う。
「世論・AとBが対立している。Aが誤ったからといってBが正しい、
という証拠にはならない。
しかし、しばしば、対立者の一方が転けると、もう一方は正しい、ということになる。」
哲学者は真理を見抜く力があるようだ。
生物学者・池田教授は言う。
「生物多様性保全とほかのいろんな価値が抵触した時にどうするかっていう調整の問題があるわけです。
その調整をやらないで、生物多様性が一番大事だと突っ走ると、とっても変なことになる。
生物多様性が大事と言っても、やっぱりその背後には人間のためというのがどうしたってあるわけです。
今までは、2つの話が対立していると言われてきました。
1つは、自然を全部保護するとか、原生自然が一番大事だという話で、
もう1つは、人間のために自然は大事だという話。この2つが対立軸としてあります。」
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異なる意見がある場合、ゼロか百か、どちらか一方を選択するという選択肢がある。
と同時に、意見を調整し、第3の意見を作成する、折衷案を創造するという手法もあることを再認識すべきであろう。
たとえば亀山湖・笹川湖は、人間の幸せのために、自然生態系を破壊し築造したダムの貯水池である。
専業と兼業とを問わず漁業で生計を立てる者はいない、河口堰とダム築造で環境が改変されたからだ。
もちろんオオクチバスにより駆逐される貴重な魚類もいない。
逆に、オオクチバスは地域経済に必須の資源と位置づけられている。
地方議会採択状況・地元観光協会意見・地元商工会意見・地元商店会意見・地元漁業協同組合意見・水面利用協同組合意見・
等によって、実情を正確に把握し勘案した、キメ細かな施策が求められている地域である。
法やルールを作るのは、人間の幸せを追求するためだ。
第1義は、郵政民営化や特定外来生物ではなく、人間の幸せを求めることにある。
困る人々を切り捨てる硬直した論理を、一律かつ強引に進めれば、
代議士には立候補断念・落選・政権交代が、学者には根拠なき仮説を蒸し返すDランクの烙印と学者生命の終焉
という型で、確実に破綻は訪れるだろう。
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ともあれ、法を作る場面に多少なり立ち会う幸せ・異なる見解を提示される幸せ・
文献を読むという個人生活(スローライフ)の幸せ、勉強になった近頃の3ケ月間ではある。
お陰で「ザ・レイクチャンプ」トップページは、さながら政治面になってしまったが。
★引用・参考文献(よしさん推奨3人の学者)紹介
@魔魚狩り、水口憲哉(東京海洋大学教授・魚類学者)、
フライの雑誌社、2005年03月01日
A底抜けブラックバス大騒動、池田清彦(早稲田大学教授・生物学者)、
つり人社、2005年05月01日
B学者の値打ち、鷲田小彌太(札幌大学教授・哲学者)、
ちくま新書、2004年07月10日第1刷