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「ワカサギって、観光地の旅館で夕食にでるフライにした、アレでしょ」
解かっているような気でいたが、とんでもない誤解だった。
ワカサギとて、自然発生するものではなく「モト」が無くてはならないし、「モト」がどのように成魚
になるのか、よしさんは勉強不足で漠然とした理解だった。
それなら学習しようと思っても、
「市販単行本が見あたらない」、「インターネットにリストが見あたらない」と、ナイナイづくし。
「みんな、どうしているのだろう」、「じゃ、よしさんがまとめて見るか」と、
2003年末からワカサギ文献リストを作りはじめた。
「単行本をチョイと集めて、簡単にまとめようか」と、タカをくくっていたのが、大間違いのもとだった(と、後で判った)。
リスト作りを進めて行くと、この分野(ワカサギ関連)に、市販の単行本(いわゆる実用書)は
極少であることが判明した(知らなかったのは、よしさんだけか)。
1行や2行ではリストと呼べないのは明白だ。
次善策として、ワカサギについて一部分でも記述のある総合書も含めることに方針転換を
余儀なくされた。
そうなると、釣り方だけにとどまらず、釣り場ガイドや仕掛け集、エッセーから魚類図鑑の
類をこえて、小説や料理、紀行や釣り場の地誌へと範囲も拡大し、
マンガも含めて際限はふくらむ一方となった(こりぁ、たまらん)。
唯一、制限らしきものは、手元の現本をリスト化するという方針。
だから架蔵していない書物や、他の文献リストからの孫引きは不可とした。
方針に従い、ワカサギについての記述がありそうな本(や資料類)を、
新刊書店と古書店内、またインターネットや目録で探し、取寄せ、リスト入力、更新発表する作業
が日常になってしまった。
情熱と時間と購入費用は無限に必要で、おそらくリストは完成することがないだろう。
なぜなら、人の命は有限だから、やがて情熱と時間は停止するであろうし、それ以前に
資金がつきる可能性も「大いにある(ここ強調)」からだ。
対する図書類は、ここと思えばまたあちら、自在に逃げもし、隠れもする(まったく)。
新刊に至っては、将来もきっと増殖し続けるだろう。
☆
さて、リスト作りの楽しみは、何といってもワカサギ本釣りの楽しみである。
釣り場で魚のいそうなポイントを絞込むのと似て、本当に楽しい。
書名や論文の題名に、ワカサギという単語があれば簡単だ。
しかし、そうでない場合が多く、これが問題であり、同時にウデの見せどころである。
著者名・発行所名等、得られた手がかりを元に、想像と推理を総動員した挙句に。
★例えば、こんな本を入手した。
「料理文献解題・川上行蔵(日本料理技術選集)1980年・柴田書店」は、
明治時代以前の料理書多数を解題した労作で、布装丁の手触りの良い本である。
これを読むのに、朝から晩まで1日かかった。
目的は、ただひとつ。ワカサギを素材にした献立・料理法の記述探索である。
1700(元禄)年頃からの写本が多く紹介されているが、明確にワカサギ料理を解題しているものはなく、これは不発。
徒労に終わる。
もっと慎重を期すなら著者と同じく、原本そのものを多数チェックせねばならないが、
閲覧もママならぬ貴重な原本も多いことを大義名分に、この部分の追求は断念した。

「料理文献解題」萬寶料理献立集のページ(部分)
リストは書名だけでなく、どのページに、どんな題名でワカサギ関連部分が掲載されているのかも明示し、
釣り人には楽しめる内容に、マニアにも賛同頂けるものになりつつあると思う(いまも継続探索中)。
リストは、
オンラインに順次発表している(亀山ワカサギ情報内のワカサギ図書室)ので、ご覧頂きたい。
本稿は、ワカサギ図書室のまえがきであり、リスト作りは現在進行形だから、なかがきのようなものだ。