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【いつものタナと道具はこれです】
房総の亀山湖は水深が比較的深い不凍湖で、ワカサギはボート釣りになる。
ワカサギのタナ(遊泳層)は、水色が普通なら、
水深8m〜15mレンジの7m〜8m付近を群れで回遊する傾向がある。
通常はポイントの水深が深く、タナも、上下2〜3m間の巾にバラつくことから、10〜20本鈎(仕掛け全長1.5〜3m)
の長仕掛けが適し、それに連動して長仕掛けを扱うロッドも長いもの
(全長1.5〜3m、または4.5〜5.4m級)が合理的になる。
リ−ルはスピニングリ−ルでもベイトリ−ルでも、OKだ。
ワカサギは動物性プランクトンを捕食していて、水色(清濁)と天候(日光の強弱)による、
光の到達する水深や水温躍層(そこに動物性プランクトンが多くいる)の変動にあわせ、回遊するタナも変化するようだ。
特殊なケースとして、降雨直後で水色がかなりマッディ−なら水深1〜2mの表層、
降雨後でも日時が経過し、水色がややマッディ−まで回復すれば4〜5mの中層に下がることが多い。
2003年11月下旬の記録的豪雨以降、12月一杯が、このケースだった。
われら釣り人も、水色と天候により、狙うポイントの水深とタナに追随できるよう、
リ−ル竿を用意する。
1.8m級のブラックバス用軟調ロッドと、スピニングリ−ルの組合せなら充分流用できる。
ワカサギの氷上穴釣り用ロッド(15〜60cm)とミニサイズ・リ−ルは場違いで、長仕掛けを扱うには適さない。
また、運良く、当日のタナが4〜5m以内と浅いことを想定し、手返しが早く正確なハネ込み式で釣る
ため、延べ竿(振り出し4.5〜5.4m級)も保険として持参すれば完璧であろう。
【よしさんの工夫】
ワカサギ釣りは、釣れたワカサギの頻繁な取り込みが要求される釣りで、
リ−ル竿を使用して釣果を伸ばすコツは、釣れた水深に再びピタリ
と仕掛けをおろせるかにある(特に中層のワカサギを釣る場面)。
そのため、少し工夫を凝らしたい。
☆1
ひとつは、事前にラインにマークを付けることだ。
ライン先端のヨリモドシ(この先に亀山湖オリジナル・ワカサギ仕掛けをつける)から、
リ−ル方向(手前)へ、4m、5m、そして8mの位置を油性マジックで
塗っておく。
赤色でチョンと塗っただけではマークを見落とすから、緑色+赤色+
緑色と、赤色を緑色で2cmづつサンドイッチし、1ケ所6cmのマーク
としている。
仕掛けを全長1mとすれば、最初のマークが水面にある状態で、4m
+1mを釣っていることになる。
同様に2番目のマーク(最初のマークと1m違い)が水面にある状態
では、5m+1mを釣り、3番目のマーク(2番目のマークと3m違い)
が水面にあるなら、8m+1mを釣っているのだとタナが読め、手返し
が早く正確さが増す。
タナが3mとか、7mだったらどうするの、という質問には、ロッドの
先端とリ−ルの距離が1.5m以上あるでしょう、が回答になる。
その1.5m以上の距離の中に、ラインを通すガイドがあり、マークが
どの位置のガイド付近にあれば、一定して3mとか、7mのタナを狙え
るかは一目瞭然。
ボート釣りでボトムのワカサギを釣るのは、胴突き仕掛け(先端はオモリ)の
オモリの着底が判ればよいだけだから簡単、説明なし。
☆2
つぎに、もうひとつの工夫を紹介しよう。
よしさんの方法は、ストッパーの設置。
ワカサギが掛かると「キタキタ、来ましたよ〜っ」と、つい、リ−ルは快速巻
上げになり、「ガリガリッ」、「ウンッ」と見上げれば、トップガイド(ロッド
先端のガイド)を越えて、ライン先端のヨリモドシや仕掛けの枝鈎まで
も、巻き込んでいる。
それを防止するため、ストッパーを付けよう。
使用するロッドのトップガイドの孔径より、わずかに直径の大きな
ビーズ玉(孔開き)1ケを用意し、ラインをトップガイドから引き出したら、
ビーズ玉に通してから、ヨリモドシに結ぶ、それだけ。
よしさんは、ワーム用16面球体の赤いビーズ玉を使用していて、つい、
快速巻上げになっても「カチッ」と、止まってくれるスグレモノだ。
☆3
つぎに、目立ちたい人向けのワザを紹介しよう。
リ−ル竿(1.8m級)を左手に握って誘いをかけて、カツッとアタリがあったとき、次の動作
は、普通、右手でリ−ルの巻上げになる。
しかし、よしさんの場合は違う。次の動作は、
@左手のリ−ル竿を(水平から垂直に)ゆっくり起こしにかかる
Aと、同時に、右手は(水中に伸びた)ラインを、つかみに行く
B右手が水面近くでラインをつかむ
C左手のリ−ル竿を舟に置きながら、右手のラインを頭上まで一定速度で持ち上げ
D今度は左手が水面近くでラインをつかむと、(右手を離して)左手のラインを頭上に一定速度で持ち上げ
つつ、右手は水面近くのラインを、つかみに行く
要するに、手繰りである。
ワカサギを鈎から外したら、オモリを放り込めば、仕掛けは再度、釣れた水深に
もどってゆく、リ−ル竿を使用していてもリ−ルを操作しない、タナ・キープ釣法である。
初日の午前中はギクシャク手繰りなどの失敗続出で、せっかく鈎掛かりしたワカサギが、
取り込みの目前で逃げ、くやしい思いをするかも知れない。
しかし、午後の部は慣れて、
湖上で手際よく、手繰りをしていると、なんとなく、漁師気分が味わえるだろう。
もちろん、寒くても素手の世界で、手袋などという邪道なものを着用してはイケナイ。
ワカサギのポイントは(混雑し)船団になっていることもあり、
そこで「あざやかに手繰り」を披露すれば、完全に一目置かれる(はず)。
【シ−ズン終盤の楽しみ】
09〜10月ころのシ−ズン初期や、11〜12月ころの中期には、比較的簡単に3ケタ台の数釣りができる。
正月を越え、02月〜03月までは、ワカサギ釣りのシ−ズンも終盤に入り、一般に
数が伸び悩み、ベテランの竿頭でも、ギリギリ100尾オーバーという釣果が珍しくなくなる。
それとて、仕掛けの自作から、紅サシの通し刺し、半分カットに始まり、赤虫を試し、オモリを軽い0.5号に変え、
アタリがでる前に(フェイントを掛けて)釣り、などなど、微に入り細に亘る、あらん限りの秘策を凝らした結果と思えるから、
唯一、亀山湖オリジナル・ワカサギ仕掛けを使用するだけの、
お気楽なわれらが、数で対抗しようとするのは初めから心得違いというものだ。
釣らぬ前は、たかがワカサギ(の餌釣りでしょ・フンッ)、釣った後は、されどワカサギで、なかなか奥の深い釣りなのだ。
終盤の季節には数ではなく、ワカサギが抱卵しているという別の楽しみがある。
上流に大都市や歓楽街がなく、清澄な亀山湖の水が育てた、安全な旬の食材として、
抱卵ワカサギ30〜40尾を得る、食べるための釣りもまた楽しいもの。
ボート店で最近の釣果や、ポイントの水深とタナを聞いてから、
出舟しよう。
最新のワカサギ釣りの参考書が発行されたので、追記しておこう。
★なるほど THE ワカサギ大全
別冊つり人173 2004(平成16)年01月01日
株式会社つり人社