[整理番号:0068]
この椅子に座ると、体が喜ぶのが判る。
腰が気持ちよく、サポ−トされる。
腰とお尻と太股で体重が支えられ、両肘は左右の肘掛に軽く乗せる。
肘の先、手のひらは、パソコンのキ−ボ−ドに達している。
なかでも右手首は、お気に入りのパ−ムレスト経由だ。
このパ−ムレスト、実はマウスパッドを兼ねているのだが、マウスの
操作エリアより手前に、横並びの2つの山がある。
この山にはゲル状の詰め物が入っているらしく、2つの山の間に置か
れた右手首はソフトな感触に、いつでもご機嫌に、働いてくれる。
原稿書きに飽きると、椅子のハイバックに頭を預けて、膝をわずか
左右に振れば、椅子ごと体も回転して、一休みできる。
行き詰まったり、推敲が連続したりの深夜には、つま先に力をいれ、
踵を上げれば、ロッキングしてくれるから楽だ。
今や次席に転落した同性能の革張り椅子も、決して悪くはないのだが、
ほんのわずか、紙一重の充実感で劣る。
よしさんは普段在宅で、長時間椅子に座っている。
なにより、ほとんど一日中、座っている椅子だから、磨かれた基本性能
を備えているのは必須の条件となる。
書棚の最上段(8段目にして天井直下)にある本を取るのに使っている、
3本脚の踏み台に腰掛けて、本を読もうものなら、お尻が痛くなって、
10分と持たない。
椅子は人生であると結論されたから、良い道具と暮らしたいから、
日本と欧米の、椅子の歴史と文化を背景に比較検討・選択され、最近
書斎の主席となったのは、サムソナイトの864−0543モデル。
エグゼクティブ・エアシ−ト(TM)の名に示される、通気性素材が長時間
の疲れを抑えることを期待したい。
30kgもの重量感は、安定した出稿を約束してくれたかのような安心感
をも与えてくれる。
この錯覚が一番のメリットであろう(まっ、自己暗示の一種ですな)。
フランス語は読めないけれど、英文の説明ペ−ジと組立図があるから、
20分もあれば、主席は完成する。
「ザ・レイクチャンプ」を支えた椅子は、家内に内緒・独断で転用した食卓
椅子に始まって、国産事務用スチ−ル椅子に替わり、さらに、高性能の
革張り椅子からエアシ−トへと、4代目になる。
今度の主席から、何がリリ−スされるのか、一番楽しみにしているのは、
他ならぬ、よしさん自身かも知れない。