21世紀の夢 The dream in the 21st century.

ODL・ト−ク Outdoor Life Talk

今回のテ−マ
21世紀の夢
The dream in the 21st century.
[整理番号:0046]

「おっと、そこじゃない! 2m右の壁際だよ」

「OK、狙ってみるわ」

「・・」

「ット、ようし入った」

「おう、ナイスキャスト! そこでカ−ブ・フォ−ルだ」

「はい・・、エ〜ェッ! ラインが走ってるゥ!」

68インチ・湾曲液晶ディスプレイの左窓で自然環境庁釣り人局宛ての月例報告書を書きながら、青木健次郎は画面の右窓に映しだされた、亀山大橋下を攻める川奈みゆきをコ−チしていたのだが、思わず興奮してパソコンの内蔵マイクに向かって怒鳴ってしまった。

未来は輝く

「合わせろ〜っ」

「FISH ON! うっ、重重しい この引きは何なの〜っ」

「・・」

「くっ、また潜った」

みゆきは、ロッドの弾力を活かし、こらえつつ、素早くリ−ルを巻いている。いつもコ−チするたび感じる、素晴らしい反射神経と身のこなしだ。

「ようし、その調子だ」

「上がってきたわ」

「フックの位置を確認して!」

「大丈夫よ、上顎に、しっかりと・・」

パソコンのディスプレイも最近では、複数別画面を同時に完全表示したり、A4版10ペ−ジを一覧表示できる大型ディスプレイが主流となり、かつ、目から大型ディスプレイの端部迄が等距離に設計された湾曲型になり、ちょっとしたコックピット気分である。もう久しく以前、国策により国内電話料金は無料となり、昔風に言えば「繋ぎっぱなし」だから時間を気にせずに済むのは、ありがたい。みゆきの胸元のワイヤレス小型マイク・スピ−カ−は、携帯電話本体をバッグにしまったまま使え、切り替えによりアマチュア無線のトランシ−バ−にも連動する便利グッズだ。

「うわぁ、大きい 70アップよ」

「腰を落として膝を舟べりに付けて、しっかりハンド・ランディングするんだぞ!」

「えぇ、まかせて頂戴!」

もう20年も経つだろうか。2005年12月、若き健次郎は亀山湖レコ−ドを大きく更新する、70.5cm・5100gをキャッチ&リリ−スしている。ルア−は yoshi's のインパクト、カラ−はブル−・クリア−である。水溶性プラスチック素材のインパクトは、往年の分類に従えばミノ−であるが、着水後10秒でアウタ−のオイカワ(ブル−部)が溶け、インナ−のアユ(クリア−部)が出現するというトリッキ−・ルア−の元祖であった。最近の亀山湖は60アップが当然として、80アップの噂さえ聞かれる釣り人垂涎の夢の舞台である。健次郎のように在宅で同船せずに、亀山湖のコ−チ業が成立するのも、インフラが整備されたからに他ならない。24時間×365日稼働のライブ・カメラ装置は亀山湖の30ケ所に40台余りが設置され、誰もが自分のパソコンからインタ−ネットを経由して、カメラのパン(左右移動)・仰角調整・ズ−ミング(倍率調整)が自在にできるのだ。台数が多いため、制御権争奪も必要なく、15台は赤外線暗視装置も併設されているから夜間の災害にも有用というわけだ。

亀山湖と、生涯の、おつきあい

「やったわ、 9号ライブ・カメラに向けて 今、見せてあげる」

「おぅ、でかしたな みゆき、おめでとう!」

「うれしい、5000gはありそう、健次郎さんのお陰だわ」

「・・」

「投げキッスするね チュッ!」

「おいおい、ボ−ト店で現認してもらうのを、忘れるなよ」

「もちろん、これから全速でF.C.つばきもと桟橋に向かうわ」

普及型ライブ・カメラ(実勢価格で6〜7万円、通常10倍ズ−ム仕様)の画角内に、みゆきを捉えて、健次郎はコ−ヒ−を飲みながら電話で、みゆきのコ−チ(今回は1時間の契約)が可能なのだ。それにしても、ス−パ−インパクト5は驚異的だ。5レイヤ−だから次々にルア−の姿が変化して魚を誘うし、素材が水溶性無機物だから湖の富栄養化に加担しないのも特徴だ。おっと、小貫妙子から2時間の在宅コ−チ依頼の電話だ。諸君、ではまた。

めでたい=富士山=直木賞、とれるかな?

本稿の登場人物・設備・装置・制度は、21世紀に実現されるであろう、20世紀最後のフィクションであり、実在の人物・団体等とは一切関係がありません。
21世紀(近未来)に向けた、よしさん初の、夢あふれる超短辺小説・青木健次郎シリ−ズ第1作、いかがでしたか?

リリ−スすれば・・・
Updated.2000年12月01日発表
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