手漕ぎボ−ト大全 Hand stroke boat encyclopedia.

ODL・ト−ク Outdoor Life Talk

今回のテ−マ
手漕ぎボ−ト大全
Hand stroke boat encyclopedia.
[整理番号:0042]

夢の舞台・亀山湖では、どなたであっても、釣りにレンタルボ−トを使用します。エンジン船(バス・ボ−トは、いません)と、ゴムボ−ト・フロ−タ−類は禁止(危険予防のため)されています。マイ・ボ−トの持ち込みに適したスロ−プは、ありません。レンタルボ−トを使用するのが、最良の方法です。今回は、手漕ぎボ−トで兆戦する皆さんに、よしさんが贈る「手漕ぎボ−ト大全」。これで夏休みの釣果は、約束された(!?)。

亀山湖へ、ようこそ

観察・微調整編

ボ−トの姿勢。桟橋に係留されたボ−トを、良く観察しましょう。右舷(や左舷)に傾いた舟は、避けましょう。船首(や船尾)に傾いた舟も、NGです。最近の舟は安全対策とメンテナンス性の向上を兼ねて、舟底と床板の二重構造が主流です。ここに一室を設けることで、座礁・舟底破損・浸水・沈没のリスクを軽減しています(浮沈構造)。床板はフラットなため、搭乗環境も改善されました。メンテナンス面では、係留時に降雨があっても、喫水より高い位置に床板(&排水口)があるため、自然排水ができます(乗舟時には当然、排水口を閉めます)。この一室に何らかの原因で水が溜まりますと、舟を漕ぐたび(重心が変わるたびに)、水が移動しますからバランスが悪く、(漕ぐ)エネルギ−に損失がでます。

オ−ルの吟味。オ−ルは左右同一のものを選びます。全長が同寸であることと、「ツバ」の位置が同一であることが、チェック・ポイントです。オ−ルは「ツバ」付近が太く、先端の水掻きの直前が細く作られています。細い部分を、オ−ル取附金具に入れると、簡単にセットできます。オ−ル流失・破損等の非常時には、ミヨシ(船首)に立ち、オ−ルの握りを左手で持ち、オ−ルの中程を右手で持って、右舷をひと掻き。つぎに、オ−ルの握りを右手で持ち、オ−ルの中程を左手で持って、左舷をひと掻き。これを交互に繰り返せば、オ−ル1本で進めます。

スノコ板。従来型の舟(一重底)は、直進性確保のため、舟底にキ−ル(竜骨)加工がなされ、床面がフラットではありません。そのため搭乗環境改良用に、スノコ板が装備されています。このスノコ板が曲者です。スノコ板を前後左右に動かし、どの部分を踏んで(軸足を掛けて)も「ガタン」と音がせぬよう、微調整しましょう。

係留用ロ−プ。もやいを解いたら、舟の中に入れておきます。

亀山湖に和舟(木造・平底)は、ありません。また、亀山湖は水深があるため(20m以深)、舟にアンカ−は装備されていません。

不伝の伝

セッティング編

釣り道具。手漕ぎでは座る場所は決まっていますから、道具の配置も使用の頻度を考慮してあらかじめ決めておきます。ロッドは左舷と右舷に。小型タックル・ボックスは股下に。飲み物・雨具は船首(背中側)に。ライブウェル・ゴミ袋等は船尾と言うように。「ゴロン・ガラン」と音の出ぬよう、安定良く置くことがセッティングのキモです。

トリム。船首喫水と船尾喫水の差をトリムと言い、船首喫水が大きいものを「おもてあし」、船尾喫水の大きいものを「ともあし」、船首喫水と船尾喫水が同じものを「ひらあし」と言います。通常は「ひらあし」になるよう、積載物(人も含めて)の重量バランスを考えましょう。「ザ・レイクチャンプ」では、各ボ−ト店ペ−ジに、ボ−トの写真を掲載していますので、事前にご検討頂けます。

救命具。ライフジャケット(救命胴衣)は、ボ−ト店に備え付けられていますから、乗舟前に(真夏でも)必ず着用します(お子様用も、あります)。湖上で他の舟を見て下さい。ベテラン程、自分専用のライフジャケットをキチンと着用しています(これが結構キマッテいます)。亀山湖に通うつもりなら、新しいロッドより先に、気に入ったライフジャケットを購入して下さい。釣りより、命が大事です。救命ブイ(紅白の浮き輪)は、船首に装備されていますので、落水者があれば「らくすい」と叫び、躊躇せず投入し、人命救助して下さい。

乗舟と下舟。落水の危険が高い瞬間です。ニ人乗りなら、先に乗舟した人は座って重心を低くして下さい。先に乗舟した人が立ったまま、ニ人目が乗り込むのは最悪です。下舟時に、舟に残した軸足を後ろに蹴って、桟橋にあがるのも危険。反動で舟は桟橋から離れようとします。「一歩またぐ」のが正解。食事・休憩等でひとまず下舟する際は、貴重品を身に付けて上陸して下さい。レンタルボ−トは、あなたが納竿する迄、一日有効です。

釣れば良いって、ものじゃない

湖上編

舟は、右側通行です。一人乗りなら、ときどき振り返って進行方向を確認しましょう。ニ人乗りなら、船尾に座る人(進行方向を向いています)が進行方向を確認し、漕ぎ手に進路の指示をすると良いでしょう。

漕ぎ方(直進・正調)。漕ぎ手(漕ぐ人)は、進行方向に背を向けて座ります。両足の踵(かかと)を床のストッパ−に掛けます。オ−ルは、右舷と左舷のオ−ル取附金具に正しくセットします。オ−ル先端の水掻き部が、水面に90度となるようオ−ルを握ります。握ったまま、やや前かがみとなり、両手の拳を揃えて後部席(船尾)の方向へ突き出します。これがストロ−クの始点です。踵・ひざ・腰・を展ばすと同時に、背をのけぞらせつつ、左右の上腕を同時に引き付けます。のけぞって全身が伸びたら(握りは、胸の前に移動して来ています)、今度は素早く、握りを押し下げ(オ−ルは水から、上がります)、ストロ−クの始点に戻ります。一定のリズムのストロ−クを目標にしましょう。コツは、水を浅く掻くことです。オ−ル先端の水掻き部(化学素材)だけで、表層の水を掻き、オ−ル軸部を深く水中には、入れません。上達すれば、飛沫も上げず、水掻き部が捉えた水の重みを脚と背骨のツッパリで感じつつ、グイグイと舟を進めることが可能です。体を使わず、手(上腕)だけで漕いでは、イケマセン。フォア−やエイト競技を見るのも、勉強になるでしょう。ニ人乗りなら、二人目は船尾側に座り、トリムがやや「ともあし」になるのがグッド。二人目が船首側に座って「おもてあし」になると、舟を進めづらくなりますし、進行方向を見張れません。3人の釣りで、親睦が主な場合は14ftの大型舟を予約しましょう。釣果を期待するなら、ボ−ト代をケチらずに1人1艇が断然有利です。漕ぎ方にはこの他に、左右のオ−ルを1本づつ交互に漕ぐ変法もあります。

漕ぎ方(右折・正調)。進行方向の右へ曲がるには、左舷のオ−ル(あなたの右手で握っています)だけで漕ぎます。同時に右舷のオ−ル(あなたの左手で握っています)を逆漕ぎしますと、より鋭角に右折できます。しかし急激な転舵は横G(遠心力)が起き、積載物転倒による音の発生、同舟者落水の危険増大、何よりここにボ−ト(釣り人)がいるということを魚に察知されてしまうリスクがあります。

惰性で接近。ギシギシと漕いで行き、振り返って進行方向を確認したら、ポイントに突っ込んでいたはNG。はたまた、ポイントを通りすぎてしまうのもNGです。自分がポイントにキャストできる距離を覚えましょう。そのキャストに使用するラインナップにより、キャストできる距離は違います。自分がキャストできる距離は、ボ−トを止める地点ですから、漕ぐのを止めるのは、もっと手前です。最後は惰性で接近します。魚は側線で音をキャッチします。ボ−トの床に缶ジュ−スの缶を落としたりすれば、最悪です。

太陽とボ−トとポイントの位置関係。太陽を背にしてポイントを攻めれば、舟(&人の)影が水中と湖底に映ります。ルア−がプレゼンテ−ションされるより以前に、魚は影をキャッチしてしまいます。浅い湖底では現象も顕著でしょう。太陽光線を左(または右)から受けるように、そのポイントを狙う時刻を調整します。北半球では太陽は、正午に南中します。年間を通じて、12:00の太陽は、真南にあるわけです。亀山湖では11:30にサイレンが鳴りますので、それも目安になります。

座ってキャスト。ボ−トに座れば、最も高いのは釣り人の頭(座高分)です。立てば、身長分になります(当たり前の話しです)。風がなく水面が鏡のように平坦なら、水面への入射光の角度は、身長分より座高分の方が小さくなります(頭の上に光源があると仮定した、光の屈折の問題です)。この論点から、座れば魚から釣り人が見えにくく、立てば魚から釣り人が見えやすいと言う結論がでます。亀山湖のようにクリア−レイクでは重要な要素です。水色がマッディ−だったり、湖面にさざ波があれば、重要度は低下します。同時に、レンタルボ−トは一般に小型ですから、立つと重心が高くなり、転覆・落水の危険が増加したり、釣り人そのものが風受面積にカウントされ(帆掛け舟の原理)、流されやすくなるデメリットが発生するものです。

風上から風下へ。流されつつ、キャスト。特定区間を釣るなら、これは極楽。逆に風下から風上へ移動しながら、手漕ぎで釣るのは困難です。「あの位置に舟を止め、この区間を流されつつ、あそこ迄釣ろう」という、その時の風向きを考慮した、ポイント選定も大切です。

ちょっとだけ移動。釣っていると、ボ−トの向きを、ほんの少しだけ動かしたい場面があります。無風なら、抵抗の大きいスピナ−ベイトを、ボ−トを向けたい方向にキャスト&リ−リング。これを1〜2回しますと、オ−ルを使用することなく、ボ−トの向きを「ジワ〜ッ」と、変えられます。接近戦では重宝する操船テクニックのひとつです。ニ人乗りなら、ニ人同時にキャスト&リ−リングすれば効果は倍増、これを「スピナ−ベイトの2丁掛け」と呼びます。

最寄りの桟橋。湖上で「自然に呼ばれた場合」や「キジ撃ちしたくなった場合」は、最短の桟橋へ向かいます。出舟したボ−ト店の桟橋でなくても、亀山湖釣舟協会加盟全店の舟なら、他店の桟橋も利用できます。もちろん昼食利用も歓迎です。

悪天なら。天候が急変して、各種の警報が発令されますと、ボ−ト営業は、ただちに終了です。釣りを中止して桟橋へ直行して下さい。雨天でボ−トの床に雨水が溜まったら(スニ−カ−は、床上浸水に無力です)、コンビニ袋等で排水(水掻き)しましょう。PETボトルの底をナイフで斜め切りすれば、排水バケツとして使えます。

落水の心得。ライフジャケット(救命胴衣)を着用していれば、まず安心。落ち着いてボ−トに戻ります。ボ−トは転覆しても、沈みません。泳ぎ寄って、片舷を持ち上げれば、復元されます。舷側につかまって呼子(ホイッスル)を吹き、周囲の舟に救助を求めます。音でSOSを表現する(モ−ルス信号)のは、短音/短音/短音/長音/長音/長音/短音/短音/短音(短音3回/長音3回/短音3回)で、いわゆる、 ・ ・ ・ − − − ・ ・ ・ (ト・ト・ト・ツ−・ツ−・ツ−・ト・ト・ト)となることも知っておきましょう。まっ、亀山湖では、どんな吹き方でも、誰かに発見されるでしょう。

これで、何とかなるわ

魚は釣り人が発見するものであり、釣り人が魚に先に発見されては、釣りになりません。手漕ぎボ−トで兆戦する皆さんの、健闘を祈る。

リリ−スすれば・・・
夏休み期間のため、60日間の特別掲載とさせて頂きます。
Updated.2000年07月01日発表
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