釣りとミステリ−の、素敵な関係 Great relation between fishing & a mystery.

ODL・ト−ク Outdoor Life Talk

今回のテ−マ
釣りとミステリ−の、素敵な関係
Great relation between fishing & a mystery.
[整理番号:0030]

ミステリ−は、お好きですか。

この場合、単に「亀山湖殺人事件」などという、日本人作家の安っぽい(失礼!)

ものではいけません。

何が何でも、スパイもの。情報戦に限定されます。

それも、海外作家に秀逸な作品が多いのは、歴史の違いというものでしょうか。

例えば、ジョン・ル・カレの名作「ティンカ−,テイラ−,ソルジャ−,スパイ」。

例えば、ショ−ン・フラナリ−の「暗号名ゼブラをあばけ」。

ここで、それぞれの作品について、どの部分が、どのように優れているのかを

逐一、揚げて行くのは簡単ですが、そんなことをしていると、今回の趣旨から

大きく脱線する恐れがあり、割愛しておきます。

教外別伝

さて。

主人公が行動する、あるプロットが、さりげなく描写されます。

この一場面から、アンド・オア・ノットのフィルタ−を通して、我々は

一つの仮説を掴む必要があるのです。

始めの一場面から、考えられる仮説は、無限に多く感じることでしょう。

(当然です)

読み進むと、別のプロットが提供されています。

更に進めば、また違うプロットが、いくつも提示されるでしょう。

順当に、スト−リ−が展開されるとは、限りません。

むしろ故意に、いくつかの状況を、行きつ戻りつする展開が、作品構成上では

「今ふう」とも言えます。

そして我々は。

ある条件下(状況)の、ある一場面において、種々の前提を負いながらも、

アンド・オア・ノット回路を唯一の武器に、慎重に仮説を絞り込まなければ

ならないのです。

あの時と、この時とで整合する仮説だけを、ひとつの知見として信用する。

整合しない仮説は、アンノウンとして、別置する。

それが上手にできないと、いつまで経っても、釣りの上達は望めません。

ここが私の、ハ−トランド

作品では、256ペ−ジの次の257ペ−ジを白紙には出来ませんから、

自動的に(作家にとっては、強制的に)話しが続きます。

読者は口を開けて、「次々に提供される棚ボタ」を待っていれば良いのです。

しかし、釣り場では、「次々に提供される棚ボタ」は、ありません。

1回目の釣行で、ある場面(プロット)を経験したと、考えて見ます。

次の釣行で、前回とは別のある場面(プロット)を経験出来ればラッキ−です。

けれど10回目の釣行で、10場面の経験が可能とは限りません。

釣り場では「今日は、前回と同じ条件(状況)だった」ということも、

起こります。

作品なら、(例えば)300の場面(プロット)構成で、完結するよう執筆

出来ても、釣り場では、300回の釣行で300場面の経験を得ることは、

不可能と知れます。

釣りが、いつまで経っても完結しない(別の言い方で、釣りの奥行きが深い

とされる)のは、仮説を得るための違う種類の場面が、順調(次々と棚ボタ式)に

提供されないことが大きな原因なのです。

だから、おもしろい

よくしたもので、悲観材料ばかりでは、ありません。

逆の見方をするならば、作品は185ペ−ジと263ペ−ジを同文には

出来ませんが、釣り場では14回目の釣行と32回目の釣行が同じ条件

(状況)であっても問題はありません。

より積極的に、同じ条件(状況)であることを利用することも出来ます。

つまり、一度釣れた状況と同様の条件では、今回も同様の手法を反復し、

「イイオモイ」が可能となるのです。

前回と今回の釣行が完全に同じ条件(状況)ではなくても、(前回の)

一度釣れた状況に近似した状況を探して、その条件下に自分が移動し、身を置く

(そこで釣る)釣り人は、仮説の絞り込みと応用が上手だと言えます。

ただし、完結迄の道のりの内、何場面目に相当する「一度釣れた状況に近似した状況」

なのかは個々の釣り人により違うものです。

先の例で、釣りも300場面で完結すると仮定し、

たまたま「イイオモイ」をした場面が100場面目の釣り人は、どうなるでしょう。

いつも釣行のたび、100場面目に近似した条件下で釣りをし、あるレベルで

そこそこの「イイオモイ」が可能でしょう。

もっと先へ(例えば150場面目に)進みたい釣り人なら、同じペ−ジを繰り返し

読んでいても進歩はありません。

新しい場面を求めて、既に得た仮説(仮説の一部は、自身の知見となっている)を

ジグソ−パズルのごとく、注意深く組み合わせ、更に別の仮説を証明する

必要条件は何かを考える意欲が求められるのです。

実際に機会を得て、その必要条件に身を置いて(釣りをして)、またひとつ

完結に接近するのです。

リリ−スすれば・・・

釣りの舞台は、自然の中。

いくつかの状況を、行きつ戻りつしながらも、有力な仮説に直結するヒントが、

自然によって、今日も全ての釣り人に、等しく与えられている。

ヒントをヒントとして感じ取れるか否かは、

受け取り手である釣り人の資質如何。よしさんは、そう考えます。

1999年06月01日発表
http://www.mmjp.or.jp/lake-champ
亀山湖は、50UPの最短コ−ス