地図は釣りにも役立ちます。
今回は、
地図の楽しみ方を2つ、紹介しましょう。
釣り場ガイド・写真集からも情報は得られますが。
ロ−ドマップなら、自宅から釣り場へのル−トを調べるのに便利です。
最短ル−トや週末の道路の混雑具合検討には好適でしょう。
釣り場の地形を確認し、水面の広がりを地図と照合する。
そんな使い方が一般的でしょうか。
地図にも沢山の種類がありますが、国土地理院の地形図を利用している釣り人は
渓流釣り師が、筆頭だと思います。
河川なら各地点の標高を読み取り、河床の勾配図も作成できます。
平地の湖沼でも案外使えるのは、流域の地形と土地利用をチェックするための
五万分の一地形図と五万分の一土地利用図です。
等高線から分水嶺を推定して、分水嶺どうしをつないでル−プ(囲み)を作ると、
流域の面積がわかります。
流域が広ければ、流量は豊富だと見当がつくものです。
登山家は、水を担いで山に登りません。
地形図をにらんで、どの沢に水がありそうか判断し、野営地を決します。
支流ごとに流域面積のル−プを着色してみると、支流の大小も一目瞭然です。
さらに土地利用をみれば水田か畑か広葉樹林か針葉樹林か、
流域の状態も把握できます。
それによって豊富な水量が清澄なままで継続しているのか、鉄砲水として濁水がでて
以後は水が涸れるのかの推定も確度があがります。
初めて臨む釣り場でも、ここ数日の天候とこうした地図読みの技術を併用して
ある程度の予測ができます。
小さい釣り場なら、二万五千分の一地形図と、二万五千分の一土地利用図の
利用が便利でしょう。
今はパソコンの世界に、優秀なアプリケ−ションソフトウェア−(地図の分野)
もあり、始点と終点を指定するだけで、距離を計算してくれたり、
(水場を囲むように)範囲指定するだけで、(湖面の)面積が計算できる等の
簡便なツ−ルもありますが、
ここでは「オ−トマチックではなく、マニュアルの方法」を
亀山湖のインレット別の流域面積計算の例で、説明して見ましょう。
亀山湖インレット別の流域面積
|
折木沢 |
30.09Km2 |
43.9% |
|
|
笹 川 |
25.87 |
37.7 |
|
|
猪の川 |
7.03 |
10.2 |
|
|
榎 本 |
3.66 |
5.3 |
|
|
押切沢 |
1.41 |
2.0 |
|
|
月毛沢 |
0.56 |
0.8 |
|
|
TOTAL |
68.61Km2 |
100% |
1992/08/27出典計算よしさん |
計算の方法は次の通りです。
- 五万分の一地形図大多喜13号「大多喜」と、同大多喜14号「鴨川」
を用意する。
- 図中の亀山湖の上流一帯に、等間隔の水平線と、等間隔の垂直線を引く。
つまり方眼を引く。
- 雨が降れば、折木沢(小櫃川本流)に流れ込む斜面に、色鉛筆で
慎重に色を塗る。
- 同様にして、雨が降ればA川に流れ込む斜面に、色鉛筆で別の色を塗る。
- これを支流毎に行う。
- 色別(支流別)の、方眼数を数える。
- 方眼数に方眼の面積を掛ける。その答えが流域面積です。
方眼の面積は小さいほど、正確な流域面積が得られますが、
釣りの立場からは詳細に目くじら立てることもありません。
- 一つの方眼に満たない半端な部分は、目分量で半分とか、1/3の
カウントをすればよいでしょう。
実際には支流を経ず、直接亀山湖に流入するエリアもあるけれど、この計算
では無視します。
このデ−タから折木沢(小櫃川本流)が、メインインレットであることが解り、
次が笹川となり、だいぶ離れて猪の川が続いていることが明確になります。
亀山湖のような山間の人造湖では、このような計算も、支流相互の実態を
把握する助けになります。
いかがですか。
釣りに行けない日も、このように楽しむことができるのです。
【この例から、作成したグラフを、“「シ−クレット・ポイント」の亀山湖”に掲載しています】
旧図は、最新の地図が発行される以前に発行された古い年度の地図を指します。
この旧図には思わぬ利用価値があるのです。
特に人造湖の場合には良い資料になります。
地形図でダム湖を探すと、最新の図には満水時の水面が描かれています。
湖岸(陸上)の傾斜も等高線によって分かりますが、水面から湖底にいたる
起伏は表現がありません。
釣り人が一番知りたいのは、水面から湖底にいたる起伏なのです。
地形図の旧図にはダム湖の完成以前の地形が描かれており、参考になります。
もっと楽しみたいのなら、地形図(旧図)でダム湖の模型を自作する方法が
あります。それを説明してみましょう。
- 釣り場を含めて模型の製作範囲を、地形図に区画・線引きする。
- 区画・線引きした範囲が、そのまま原寸大の模型になります。
例えば20cm四方の区画なら、模型の大きさも20cm四方となります。
図上の面積が小さな釣り場の場合、模型も小さくなりますので地形図に
区画・線引きした後に、区画を拡大コピ−すれば完成品も大きくなります。
その時は、倍率をきめて拡大コピ−します。
縦横ともに同倍率で拡大するのが注意点です。
- 区画(または、拡大コピ−した区画)と同じ大きさの、工作用厚紙(方眼の入った
ものが入手しやすい)を多数用意します。
- 一枚の工作用厚紙の上にカ−ボン紙をおき、その上に原版の
地形図(区画した範囲)をのせます。
工作用厚紙とカ−ボン紙と原版の地形図がズレないように、
クリップで留めるなどの工夫をすると、作業が楽です。
原版の地形図の区画中で標高の一番低い等高線を探し、
その等高線をボ−ルペンで強くなぞる。
- 原版の地形図とカ−ボン紙を除くと、工作用厚紙の上に標高の一番低い
等高線が転写されていますので、カッタ−ナイフ等で慎重に等高線にそって
切り抜きます。
切り抜いたピ−スは不要です。
必要なのは切り抜き穴のあいた工作用厚紙です。
この切り抜き穴のあいた工作用厚紙を、区画と同じ大きさの工作用厚紙
(台紙となる)の上に乗せ、位置決めをして糊付け固定します。
切り抜いた部分は、実際の風景では流出口の河床に相当します。
- 新たな一枚の工作用厚紙の上にカ−ボン紙をおき、その上に原版の地形図
(先程使用したもの)をのせます。
先程なぞった等高線の、ひとつ上(高い標高)の等高線を、ボ−ルペンで
強くなぞります。
- 先程と同様に、工作用厚紙の上に転写された等高線にそって切り抜きます。
切り抜き穴のあいた工作用厚紙を、位置決めし糊付け固定します。
これを等高線の数だけ繰り返します。
つまり、湖底から水面・水面から山頂へと工作用厚紙を積み上げて、
模型をつくるわけです。
最後は着色すれば完成です。
ただし旧図ですから、堰堤やダムはありません。
模型の垂直方向があまり強調できません。
強調したい場合は、厚みのある材料を使用して下さい。
【工作用厚紙計算例】
区画内の標高の最大(山頂等)が300m、最小(谷筋)が50mの場合は、
300−50=250mが基準(比高)となる。
等高線の間隔は二万五千分の一地形図で10mだから、250÷10≒25となって、
最下部の台紙1枚を加えて工作用厚紙は26枚必要と計算できる。
この模型を、約100年前に作成された迅速図で作ると、
また違った釣り場の風景が展開することだろう。
いかがですか、地図の楽しみ。
エッ! 子供の夏休みの自由研究テ−マに最適ですって。 ああ。