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ビッグ・フィッシュ続出の、亀山湖
ネバダのレイク・ミ−ドの、2500分の1の水たまり。
千葉県で最長の川・ 小櫃川上流にある、多目的ダムによる湖水が、亀山湖です。
亀山湖は、1976(昭和51)年工事完成。
1979(昭和54)年11月より、湛水を開始。
ブラックバスは、1980(昭和55)年に早くも生息が確認されています。
複雑な湖岸線と、39メ−トルもの最大水深に加えて、県内最大の有効貯水量に
恵まれた、釣り人あこがれの湖。
ビッグ・フィッシュのパラダイスなのです。
多目的ダムのため、水位の増減は通常2〜3m程度と、比較的に少なく、
水色は、クリア−。
立木・桟橋・沈船・水没道路・スタンプ・ハンプ・リバ−チャンネル・ブレイク・滝・
穴等をはじめ、農業用揚水機場・取水場・橋げた等の、マンメイドストラクチャ−
を備えています。
生息が確認された魚種も、鯉・真鮒・草魚・ヘラブナ・ニジマス・ブル−ギル・似鯉・
ウナギ・ワカサギ・テラピア・ヤマベ・イワナ・ブラックバス等と、多彩。
付近は、野猿と鹿の生活エリアでもあります。
よしさんは、1983(昭和58)年、亀山湖に初めてルア−をキャストして以来、
すっかり、ビッグ・フィッシュ症候群に感染してしまいました。
ブラックバスは、フィッシングコテ−ジつばきもとが、1984(昭和59)年から
1997(平成09)年の14年間に確認した、50cmアップだけでも
153尾にのぼっているのです。
よしさんの58.5cmは、1993(平成05)年には、亀山湖歴代第3位の
ビッグ・フィッシュでしたが、1996(平成08)年、62cmが釣られ、
更に1997(平成09)年には、61.8cmが釣られて、現在では亀山湖歴代
第5位に転落してしまいました。
このように、特に最近の5年間は、超大型がバイトしてくる傾向にあり、
亀山湖のブラックバスが、誰の手によって、日本記録をいつ更新するのかが、
今後の焦点であり、楽しみでもあるのです。
2
真冬のバズベイト
58.5cmは、1993(平成05)年12月18日、予定のポイントで釣ったのです。
いい加減なことを言うな、との声があがりそうですが、いい加減ではありません。
集め続けた亀山湖の各種デ−タの保有量は、よしさんがダントツの
日本一(と思う)。
原資料を充分解析し、新たなデ−タを作成。
この季節なら、どのポイントで、どのルア−を使って、どんな天候の日に、
釣れるのか。
ビッグ・フィッシュが好んで身を寄せるポイントを、構成する要素(ストラクチャ−)
は、何が有効なのか。
外気温と水温は、どんな影響を及ぼすのか。
気圧は、どうなっていれば好ましいのか。
検討を終えて、釣れる諸条件がそろう日を、待っていたのです。
だから、その日に、釣るポイントは、決めていました。
ズバリ、「長崎」と「川口」の2ケ所。
そして前年10月にも54cmを、キャッチ・アンド・リリ−スした「竹薮下」を
万一の保険として加えて、3ケ所です。
初めから、そこしか釣るつもりは、ありませんでした。
12月の土曜日。
天候晴れ。
水温8.3度。
気圧1016ヘクトパスカル。
ロッドは、5本。
ベイトが3本、スピニングが2本。
水を汲んで、ライブウェルに入れる。
準備よし。
06時50分、フィッシングコテ−ジつばきもとから、出舟。
一巡目。
「長崎」に向かう。
「長崎」を釣り、「川口」を釣って、ヒットなし。
「竹薮下」を攻めるも、気配なし。
二巡目。
再び、「長崎」に戻って粘るも、出ず。
そして問題の「川口」。
あそこにいるはずだと考える、「ポイントの中のポイント」、に大きく迂回して接近。
よしさんの接近を、魚に先に知られては、マズイのだ。
狙い澄まして第1投をキャスト。
14時14分。
10mばかりは、何の変化も起こらなかった。
バズベイトは、水面を順調にリトリ−ブされていた。
直後。
水しぶきと共に、水面に盛り上がる黒い背中。
グッと、あわせると、「ギュイ−ン」という糸鳴り。
「ビッグ・フィッシュ」だ。
ストラクチャ−に潜り込まれぬよう、ジャンプされぬよう、体は自然に対応している。
魚体が反転する。
再び、黒い背中。
一瞬、「鯉か」との想いが、脳裏をかすめる。
が、ようやく寄せた魚は、紛れもなく、ブラックバス。
バズベイトは、上アゴを深く、貫いているのが確認できる。
「ヨシッ」
舟の床に膝をつく。
「コイツを、ハンド・ランディングするのだ」と、自分を励まし、右手を差し出す。
右舷から取り込み、ライブウェルに入れようとするが、魚が大き過ぎて
尾が入らない。
しばらくは、窮屈な体勢で我慢してもらおう、と蓋を閉める。
タバコに、ジッポで火をつける場面になって、やっと実感が湧いてきた。
「釣ったのダ」と。
真冬のバズベイト。
亀山湖では、その後、ブ−ムになりました。
使用した、タックル
ロッド
バンタムエクセ−ジBXG−1602−2(シマノ)
リ−ル
PS2−5B、ギア比5.2対1(ダイワ)
ライン
16ポンド(東レ)
ルア−
バズベイト、スカ−ト白(ゲ−リ−ヤマモト)
3
個体識別
よしさんの、58.5cmには、「吉永(よしなが)」嬢という名前があります。
命名者は、もちろんよしさんです。
亀山湖には、他にも「某式(ぼうしき)」君が、います。
今は、それぞれ60cm以上に成長しているのです。
十人十色というように、ブラックバスにも個性があります。
個体識別ができると、魚の生態の解析に威力を発揮するものと、よしさんは、
期待しています。
4
「ザ・レイクチャンプ」のこと
インストラクタ−だから、レコ−ド・フィッシュを釣っても当然。
と、思いますか。
資料収集・その解析・新デ−タ作成に始まり、「吉永」嬢らとの出逢いは、
ひとりの釣り人としての、個人的な努力(楽しみ)から生まれました。
「単に、釣れればよい」という態度を捨て、もっと広く知りたい、もっと大きく
亀山を理解したいと努めています。
よしさんは、乞われて、1996(平成08)年より、フィッシングコテ−ジつばきもと
の、フィッシング・インストラクタ−を引き受けています。
また、資料の宝庫は、インタ−ネットのホ−ムペ−ジ「ザ・レイクチャンプ」の、
「デ−タ・ブック」にて、皆さんに開放しています。
URLを載せておきますので、興味ある方は、アクセスしてみて下さい。
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「ザ・レイクチャンプ」
http://www.mmjp.or.jp/lake−champ
それでは、良い釣りを。
そして一度は、ビッグ・フィッシュのパラダイス、亀山湖を訪ねて下さい。
できれば泊まりの、連チャンで。
本稿は、LANDING No.25 04月号、「ビッグバス列伝」に掲載されています。
株式会社ランディング社のご厚意により、「ザ・レイクチャンプ」に転載させて頂くものです。
もっと、夢に近づきたい人は、LANDING誌(上州屋等で発売中)をご覧下さい。