釣りの本 The books of fishing.
ODL・ト−ク Outdoor Life Talk
今回のテ−マ
釣りの本
The books of fishing.
[整理番号:0013]

野暮用だとか、半日しか時間がなくて、釣りに行けぬときは、

本を読んで過ごすことが多い(もちろん原稿の締め切りもなく)。

そんなときは、たいてい釣りの本に熱中する。

釣り好きには、釣りの本も集めてコレクションしている人が少なくない。

有名なところでは、開高 健,丸山 信,芳賀故城,大崎紀夫,青島 鍵,

等の各氏。

鳥海清氏は商売人(釣り本を主とする古書店主)だし、名古屋の金森直治氏は

人も知る釣り本コレクタ−である。

比較すべくもないが、ささやかな我が蔵書にも、ちらほらと釣りの本があって

家人から「積んでおくだけで、いつ読むのかしら」などと言われている。

平均して200ペ−ジ前後の本が、毎日1冊以上(年間で300〜400冊)は

増え続けているのだから、一言もない。

「ああ」とか、「うう」と、お茶を濁すばかりである。

さて。

釣りの本も集め始めると、面白くなり、止められなくなってくるから恐ろしい。

まだそれほど集めていない釣り人には、適当に止めておくのが賢明です、と、

言っておこう。

恐ろしい理由は沢山あるのです。

釣りの本と言っても、ハウツ−ものから釣り場ガイド・小説やら随筆類・

紀行から学術文献・卒業論文、写真集も漫画も書誌も、となれば

広く領域をカバ−しなければならない。

その上、釣りの周辺もとなると、例えば「魚」・「水」・「河川」・「湖沼」・「釣り道具」

「漁労」・「養魚」・「(魚の)料理」等々と、キ−ワ−ドが増えて、領域の際限が

怪しくなってくる。

単行本でもこのありさま。

海外の原書類や、雑誌も隈無く守備範囲とするなら、個人ではまず無理でしょう。

釣り場のZIPPO、気をつけてネ

理由の一つは費用。

計算が簡単になるよう、これから集める釣りの本が一万冊あるとしよう。

実際はそれ以上(らしい)。

単価を千円としても、一千万円である。

この単価には異論もあるかと思いますが、平均してこれならとても安い。

理由の二つ目は時間です。

ここに費用全額があるとして、ある日、近所の本屋に出掛ければ

一気に全てが揃うわけではありません。

本屋の店頭に並んでいるのは、最近の半年間に発売された新刊書だからです。

もっと回転が早ければ、3ケ月かも知れません。

ならば誰かに頼めば・・・これも到底、一日や二日で全て、というわけには

行きません。それにいったい、誰に頼むのですか。

新聞は下段から読み(新刊書の広告が載っている)、大都市の大規模新刊書店を

リュックをかついでハシゴし、それで集まるのは最近の本ばかりです。

今度は古書に目が向きます。

これまた古本屋に行けば、全ての釣りの本が並んでいるものでもありません。

従って古本屋通いも徐々に遠方になり、やがて全国的に行脚するハメに

陥るのです。

探求書をもとめて、ある地方へでかけ宿泊することもあるでしょう。

釣りの時間は、急速になくなります。

いかがですか。

だんだんと、恐ろしくなりましたか。

冬の亀山湖は、BIG FISHのパラダイス

第三の理由は、保管場所(つまり本の置き場所)です。

個人で集めた本は、二千冊や三千冊なら自室に床から天井まで、8段の書棚を

巡らせ、かなり整然と置けるはずです。

それからが困ります。

壁際には、空間が残っていないのです。

床から横積みにした本の山が、毎日高く成長してくるのです。

その山が、やがていくつもの山に増殖してくると、小さな古本屋そのものの

風情になり・・・。

この段階の心配は床の根太であり、地震であり、もちろん火災なのです。

第四の理由は、読み切れないこと。

または読み切れないであろうと、確信を持って予想できること。

読書量は、とうの以前に購入量に抜き去られ、現在大差をつけられている。

この大差は将来拡大することがあっても、劇的に縮小することは期待できない。

もう今となっては期待もしない。

読み切れない原因は、はっきりと特定済みだ。

読む時間を、本を買う(否、正しくは、探しに行く)時間に当てているのには

アキレル。

本を買って読むのは正統派(カナ?)。

本を買ってツンドクのは、邪道なこと(と、思われている?)。

読み切れないのに買うのは、一種の病気です(本人が言うのだから、

診断は正しい)。

猛禽に襲われたのか

第五の理由は、整理にも時間を取られること。

釣りの本は装丁の似たシリ−ズものや、書名の類似したものが多く、

暗記に頼って購入していると、重複して書架から発見されることが一度ならずある。

これを避けるため、昔は図書館並に蔵書カ−ドを記入作成したこともある。

次には、パソコンの蔵書管理プログラムに入力したりと、深夜まで涙ぐましい

努力が要求される。

さらに、とある深夜、ハタと気がつく。

このように自宅で整理をしていても、整理デ−タを古本屋の狭い通路に

持ち込んで棚の探求書実物と、照合・検索できなくては、

重複購入は回避できぬことを。

そこでまた、携帯型のデ−タ入力検索ツ−ルも必需品に加わる。

この携帯型ツ−ルなら、探求書を、その場で検索できるのだ。

探求書目を紙に書いて、探すなんて、もう古いのだ。

「ウヒヒ、やった」と、絶頂。

それも束の間、「面白くて、やがて悲しき、本探しかな」。

こんなことをしていて、良いのだろうか。

ああ、釣りに行きたい、とボヤクようになる。

最大にして究極の理由は、釣りに行くよりも古本屋巡りに、やがて趣味が変化して

しまう可能性が極めて大きいことなのです。

ああ、恐ろしい。

(さて、今月もHPの原稿は、できた。釣りに行こうっと!)

リリ−スすれば・・・
Updated.1998年02月01日発表
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