|
| 0104 |
| 大正池(たいしょういけ) taishoike-pond. |
---|---|
| 千葉県館山市神余(かなまり) |
1地形図 | 千倉7560,7570 |
分 類 | 溜池(灌漑用) |
別 称 | なし |
|
JR内房線館山駅より、南へ約6km。 内房・東京湾沿いの国道127号線を南下し、館山バイパスで館山市に入る。 館山市を南下、JR内房線を陸橋で越え、県道191号・館山長尾線に入り、 白浜町方面に向け南下。 中山トンネルを抜け、約700m先・東虹苑バス停(左ト)で県道から別れ左折。 左に巴川を見ながら坂を登り、約900m先、東虹苑クラブを左折。 民家脇を抜け狭い道を下ると堰堤にでる。 |
---|---|
| 7,800m2(0.78ha)推定 |
| 3.0m(推定) |
| 15,600m3(推定) |
| 不詳 |
| 不詳 |
生息確認年月 | 2003(平成15)年03月04日未確認 |
|
貸しボート・売店・トイレなし。駐車スペースあり。 |
Special Feature | 大正池は、房総半島南端・標高100m程度の尾根筋に開発された別荘分譲地の谷にある。 |
|
水色はマッディー、水面はオープン。堰堤付近の水深は浅く、ボトムは砂・土。 大正池の代表魚種は不詳だが、せいぜいコイ・マブナの類であろう。 道路下(中央公園下)に滝状のインレット(流入部)があり、ワンド・岬・アスファルト護岸等の ストラクチャーがある。 池のある谷津斜面は、常緑広葉樹が優勢で、一周できる歩道があるが、手入れはなされて いない。流域面積内の分譲地の雨水調整池として機能しているようだ。 道路の反対側(南)にある、上流の明治池は、荒れていて近寄りがたい。 大正池・明治池ともに、釣り場としての価値は高くない。 また、館山市稲・山本地区の谷津にも大型で同名の大正池がある。 |
history. | 北東から南西へ堤体が設置され、水面は南東方向のびる。 |
|
堤体はアース式で土盛り、内面アスファルト護岸である。 堤頂長45.0m、堤頂高・堤頂巾・堤体積・総貯水容量・有効貯水容量は、残念だが不詳。 堤体断面は一般にイメージされる「への字」ではなく、堤頂部から外側は一段と高く土盛りされ た地盤面(GL)になっており、栽培用のハウスが建てられている。 湛水面積を概算すると、平均巾60m×長さ130mで7800m2、最大水深を3m内外と推定し、 平均水深を2mとするなら、有効貯水容量は15600m3強と見積れる。 コンクリート製余水吐は堰堤の北東端にあり、流末は大正池直下の巴川に設置された神余ダム (堤頂高10.8m・堤頂長19.5m・有効貯水容量11000m3・上水道用・昭和43年完成・ 重力式コンクリートダム)を経て、平砂浦で太平洋に下る。 |
|
巴川の西隣に集水域をもつ佐野川には、オオウナギが溯上・棲息するとされ、今でも館山市の 天然記念物に指定されたままだ(1958年07月16日指定)。 オオウナギはウナギとは別もの、ウナギの大型は大ウナギ、オオウナギは小型でもオオウナギ。 通常1m、最大2mになるらしい。 ウナギ科ウナギ属、学名anguilla marmorata quoy et gaimard 国内では千葉県以西、九州、沖縄 まで黒潮の影響をうける太平洋岸に分布し、アカウナギ、ゴマウナギ、ウツボウナギ、カニクイ(九州)、 ジャウナギ、カーウナージャー(琉球)等の地方名をもつ。 沿岸付近の水量と流れのある川や湖にすみ、脂肪が多く日本では食用にされないが、南方諸国 で薬用、厚い皮を長靴に利用されるという。 佐野川に、オオウナギをたずねた話が「蝉の森・房総の動物たちを訪ねて」の「大鰻の川」に紹介 されている。 されば、平砂浦に注ぐ他の河川(西から小沼川・坂井川・布沼川・洲宮川・藤原川、佐野川の東 に巴川)にも、オオウナギが溯上・棲息して良いはずだが、なにぶん小河川ゆえ「水量と流れの ある」という条件がネックになると思われる。 有名無実状態の佐野川にオオウナギを、復活させ、恒久的なものとするには、河川流量維持も 不可欠であり、それは新規に貯水できる設備を上流に設けることにつながり、用地問題や工事 費用捻出等、ひとくちに保護といっても、容易ではないことがわかる。 つまるところ、限りある予算を人の幸福に使用するか、オオウナギの保護に支出するかの選択 となる。後退し、失われつつある自然の保護には、想像以上の巨費が予想され、ボーゼンとする。 |
|
日本のウナギ釣りを記録した文献の、古いところといえば、有名なのは、1842(天保13)年頃 刊行された黒田五柳の「釣客伝」だと、永田一脩は「江戸時代からの釣り」で指摘しているが、 もう少し古く、1830(文政13)年刊行の喜多村節信(ときのぶ)の「嬉遊笑覧」に、ウナギの 数珠子釣りと穴釣りが記されていると、長辻象平は「江戸釣魚大全」で紹介している。 数珠子釣りや穴釣りは今も通用する釣り方で、近年では那須良輔の「釣り春秋」に鎌倉界隈の ウナギの穴釣りを描いた「未亡人のウナギ釣り」があり、楽しめる。 同書「赤い大ウナギを釣る」は、「九州の球磨川」・「2m近い」・「赤かウナギ」のキーワードから、 著者・那須良輔も大ウナギ(オオウナギの意)であろうとしているが、よしさんも那須説に賛成。 土用は年に4回あり、夏の土用は立秋の前の18日間で、2003年は8月8日が立秋だから、 土用の入りは7月20日、明けは8月7日、なかでも「丑(うし)」の日は、7月27日(日)である。 平賀源内の安永年間から土用の「丑」の日にウナギを食べると、夏バテ防止・暑気ばらいになる とされ、ウリ、ウドンなど「う」の字のつくものを食べるところもある。 ウナギには視力調節に効果があるとされるビタミンAが多くふくまれ、「丑」の日ではなくても 「えぇ〜い、苦しゅうない、ウナギを持てぇ〜い」と、食べたらよい。 もの知りだが、恐ろしく経済観念の発達した古女房は何をくりだしてくるのか。 さぁて、今夜のメニューはウナギの蒲焼とでるか、ウドンになるか、それが問題だ。 |
Reference Books. | ||
○釣り春秋 那須良輔 | 1978(昭和53)年10月04日初版 | |
株式会社大陸書房 | ||
○食物ことわざ事典 平野雅章 | 1978(昭和53)年12月01日第3刷 | |
文春文庫196−1 株式会社文藝春秋 | ||
○日本列島産淡水魚類総説 青柳兵司 | 1979(昭和54)年04月01日(復刻版) | |
財団法人淡水魚保護協会 | ||
○魚・淡水編 桜井淳史 | 1981(昭和56)年01月20日初版 | |
野外ハンドブック10 株式会社山と渓谷社 | ||
○原色日本淡水魚類図鑑 宮地傳三郎他 | 1981(昭和56)年02月01日全改訂新版6刷 | |
株式会社保育社 | ||
○釣り春秋 那須良輔 | 1982(昭和57)年12月25日初版 | |
旺文社文庫187−1 株式会社旺文社 | ||
○江戸時代からの釣り 永田一脩 | 1987(昭和62)年02月25日初版 | |
株式会社新日本出版社 | ||
○蝉の森 谷本雄治 | 1991(平成03)年06月10日初版 | |
株式会社ぎょうせい | ||
○魚の事典 能勢幸雄監修 | 1993(平成05)年10月25日4版 | |
株式会社東京堂出版 | ||
○千葉県のダム | 1994(平成06)年03月序文 | |
千葉県土木部河川海岸課編 千葉県 | ||
○淡水魚カタログ 森文俊他 | 1995(平成07)年07月10日初版 | |
株式会社永岡書店 | ||
○江戸釣魚大全 長辻象平 | 1996(平成08)年03月20日初版第1刷 | |
株式会社平凡社 | ||
○日本の魚(淡水編) 田口 哲 | 1997(平成09)年07月10日初版第9刷 | |
フィールドガイド3 株式会社小学館 |