|
| 0103 |
| 千保堰(せんぼぜき) senbo dam. |
---|---|
| 千葉県安房郡丸山町丸本郷 |
1地形図 | 安房古川7246 |
分 類 | 溜池(灌漑用) |
別 称 | 千本溜井 千本堰 |
|
JR内房線南三原(みなみはら)駅より、北西へ約4km。 内房・東京湾沿いの国道127号線を南下し、館山バイパスで館山市に入る。 館山市から国道128号線を東進し、丸山町に入る。 2.3km先、丸山郵便局の変則十字路信号を左折・国道410号線を北上。 丸山川を渡り、T字路を左折・道なりに北上。 丸山町役場・丸山中学を過ぎ、約2.8km先「珠師ケ谷口」バス停で国道から 別れ、左折・西進。再び丸山川を渡り、300m先の十字路を右折・北上。 400m先(左ト)を左折、上り坂の左が千保堰。 |
---|---|
| 2,433m2 |
| 3.0m(よしさん推定) |
| 5,500m3 |
| 不詳 |
| 1700年代(よしさん推定) |
生息確認年月 | 2003(平成15)年03月05日確認 |
|
貸しボート・売店・トイレなし。 |
Special Feature | 小さな農業用溜池。 |
|
丸山町と三芳村の境にある三山トンネルの東側、丸山町に位置する。 堰堤は南北にのび、湖水は西に広がる。 堰の東から北をまわり、西の三山トンネルへと町道は堰を巻くようにのぼる。 土盛りの堰堤からのアプローチが楽だ。北の道路下も足場は、しっかりしている。 ボトムは土と岩、水色は、ややマッディー、水面はオープン。 ストラクチャーには、とぼしい。 |
history. | 堤体は一文字型でアース式の土盛りである。 |
|
北側と西側の道路下はコンクリート製垂直護岸。 堰堤奥に越流式余水吐け(トンネル式)がある。 北風や西風がつよくあたらず、水温が上昇しやすい優秀な溜池と見た。 千保堰は、堤頂高3.1m、堤頂巾4.2m、堤頂長33.0m、堤体積不詳。 総貯水容量・有効貯水容量は、5,500m3(古い時代の農業用溜池で、 総貯水容量と有効貯水容量の区別が不明確のままだ)、公簿面積2,433m2、 灌漑面積は約5haである。 平均水深を机上計算するにあたり、便宜上、公簿面積を湛水面積と読みかえ、 貯水容量5500/公簿面積2433なら、水深2.26mとなる。 しかし実際は、非湛水面積部分があり、平均水深もより深くなろう。 ☆ ☆ 1854(嘉永07)年の丸本郷村明細帳に 「一 字千本溜井 堰堤弐拾四間 壱ケ所。 一 字入山溜井 堰堤弐拾三間 壱ケ所。右溜井共古来之訳相知不申候」と見え、 当時でさえ千保堰(千本溜井)の築造年代は不明であったことが判る。 したがって築造年は、1700年代に、さかのぼると推定される。 堰の管理は丸本郷区。 流末は、丸山川(流路延長23,300m・流域面積33.0km2)に入り、太平洋に注ぐ。 |
|
丸山町には、河川をせきとめて水源とした川堰を除いて、いわゆる農業用溜池が 46ケ所あって、町の全面積44.41km2と比較すると、1km2に1ケ所強という 溜池密度になる。 これは千葉県最高峰・愛宕山(標高408.2m)を擁す山地から、海岸まで町全域 を含めた密度で、現地に立てば、いたるところ溜池あり、という感覚になるだろう。 西日本なら瀬戸内海北岸の播磨(兵庫県)や、南岸の讃岐(香川県)の溜池密度が 異様に高いことが知られているが、それは降水量が少ないことに起因(年間降水量 800未満〜1200mm未満)している。 乾田と溜池は地方独特の気候に合わせ、歴史の中で必然と作られてきた顔だ。 されば、当地丸山町は、どうか。 丸山町の年間降水量は1900mm未満、月間降水量も3月180mm未満・5月 160mm未満・7月160mm未満と多い方だが、大地は地層の固結化(高水圧の 深海で堆積し、その後隆起した三浦層群)で、残念なことに、雨水の地下浸透力が 弱い。つまり地下水涵養能力が低いという特性がある。 また、河川は、流路延長と流域面積が小さく、河床勾配が大きいため(すぐ流れ去 ってしまい)流量が少ないという性質から、つねに水不足に直面し、農民は干害の 恐怖にさらされていた。 当地の溜池密度が高いのは、地層と小河川を要因として築きあげられた、歴史の 顔といえる。 |
|
丸山町の三島地区は丸山川の河口にあたり、古くは砂利の河原状の場所を水田 として開かざるを得なかった。 用水を施しても「ザル田」のため、水はすぐ抜けて米作は難儀であったという。 このため、田の一角に設けた井戸(ここに用水が戻ってくる)から揚水し、定量の 用水を効率よく循環させ、何度も表層(の作物)に施す、自然エネルギー利用の 方法として、風車揚水が利用されていた(すごい知恵ですねぇ、先人に脱帽・拍手)。 今は、ほ場が整備され、他の地区へも移設された風車は町のシンボルになっている。 ☆ ☆ 滞在して釣りたい、遠来の釣り人に不便なのは、町内に気のきいたホテルが見つ からないことで、その点だけが残念だ。 一人でも泊まれて、プライバシーが確保でき、夕食が供され、リーズナブルな料金 のホテルなら良いのだが・・。 さらに、郷土料理か新鮮な地魚がメニューにあって(よしさんは下戸だから地酒は 不要)、温泉にはいれ、インターネット環境が整備されており(宿所有設備でなく、 電波伝播でよい=PHS)、未明チェックアウトも可能なら、釣り人にはパラダイスで あるが、気に入る宿さがしは難儀の代表格にちかいから、またこまる。 よしさんは丸山町に泊まりたかったが、やむなく館山に宿をとっての取材であった。 |
Reference Books. | ||
○角川日本地名大辞典 12千葉県 | 1984(昭和59)年03月08日 | |
同編纂委員会 株式会社角川書店 | ||
○丸山町史 | 1989(平成01)年03月30日 | |
丸山町史編集委員会 丸山町 | ||
○千葉県の自然誌 本編2千葉県の大地 | 1997(平成09)年03月25日 | |
県史シリーズ41 財団法人千葉県史料研究財団・編 千葉県 | ||
○千葉県の自然誌 本編3千葉県の気候・気象 | 1999(平成11)年03月25日 | |
県史シリーズ42 財団法人千葉県史料研究財団・編 千葉県 |