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| 0095 |
| 大正堰(たいしょうせき)taishou-dam. |
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| 千葉県いすみ市(旧夷隅郡岬町)和泉 |
1地形図 | 上総長者5932,5933 |
分 類 | 溜池(灌漑用・防火用) |
別 称 | なし |
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JR外房線太東駅より、南東へ約2700m。 国道128号線を下り、岬町に入り南下。太東灯台入口信号を左折。 道なりに600m直進すれば、右側が大正堰である。 |
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| 18,000m2(よしさん推定) |
| 1.0m |
| 不詳 |
| 不詳 |
| 原型は大正年間の築造 |
生息確認年月 | 2002(平成14)年10月10日未確認 |
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貸しボート・売店なし。水洗トイレは東側の丘の上、太東崎灯台に新設された。 |
Special Feature | 太東崎灯台を訪ねるには、必ず大正堰畔を通る。 |
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自然のインレット(流入部)は、北東に隣接する、新堰。 大正堰の水色は、かなりマッディー。ボトムは泥。水面はオープンで水中に水草は少ない。 護岸は、コンクリート矢板・コンクリートブロック・土盛りからなる。 足場はおおむね良い。 フナ・コイ・ウナギ・タナゴ・カイツブリ・カルガモ・オオバンも生息。 土地の老婆は、1996〜1997年頃の水抜き時、コイが大量に斃死したと話してくれた。 竹杭・アシ等のストラクチャーがある。 新堰は、中央部迄一面アシ・蒲におおわれ、オープンな水面がわずかに見える程度だから、 残念ながら釣り場としては魅力に乏しい。 |
history. | 銘々は築造時期(大正時代)に由来する。 |
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1883(明治16)年以前には、南西に隣接した位置に、水面積1.5倍の堰(当時の 名称は不詳)があり、大正年間に、これを現在地(旧土地利用は水田)に移設したもの。 移設跡地も水田となっている(新堰の位置は1883年以前より不変)。 湛水面積は、2万5千分の1地形図から計算した。 最大水深は、現地でルアーをボトムまで沈めて実測。 総貯水容量は、18,000m3(18,000m2×1m)と推定される。 降雨を貯水したのは昔の話で、今は夷隅川(流路延長67.5km,流域面積299.4ku,/別項参照) の水をポンプアップして流入させ、防火用水としても利用されるため冬季も満水である。 南端の越流式コンクリート枡から流出し、流末は夷隅川に入り、太平洋に下る。 大正堰の管理は太東土地改良区・和泉区である。 |
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大正堰の南方に、夷隅川河口・和泉浦(岬町)・日在浦(ひありうら・大原町)と続く、 約5kmの海岸がある。 ここは宮崎市周辺、徳島県海部郡日和佐町大浜海岸等と並ぶ、アカウミガメの浜である。 2002年は06月04日の上陸を始めに、17〜18回の上陸があり(内10回は産卵)、 08月30日〜10月14日に(産卵後60日目に孵化した)アカウミガメの子は、海へ帰った。 夷隅のアカウミガメは海流に乗り、遠く北米大陸に回遊していることが、解かりつつある。 夏季はサーファーでにぎわう海岸だが、3億年前から生息するアカウミガメが産卵に来る、 首都圏近郊でありながら貴重な自然の残された浜の意義は大きい。 国内屈指の魚種豊富な夷隅川と、その河口付近は生物界・驚異のスポットだ。 |
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1903(明治36)年12月31日生まれの林芙美子が、出世作「放浪記」を書き始めたのは 1923(大正12)年頃と平林たい子が書いている。 「放浪記」新宿界隈の生活では「御飯にごった煮にお新香が運ばれてきた。合計12銭也を 払って・・」だとか「たった一握りの白い握り飯が食べたいのだ」と嘆く。 蒸気機関車の牽引する列車に乗り、房総東線(現・外房線)の三門(みかど)駅に降り立ち、 日在浜を逍遥する場面には、「夜は生鰯の三杯酢に、海草の煮付けに、生玉子の御馳走 だった」とメニューが紹介されており、大正堰築造当時の世相・食生活がオーバーラップして 見えてくる思いがする。 |
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岬町に、三門堰(三門/みかど)・昭和堰(和泉)・浅間堰(中原)・亀ケ城(中原堰・別項参照) ・鶴ケ城(椎木堰・別項参照)等があり、大原町に、大山堰・新堰・田井谷堰・壺谷堰・大聖寺 堰等がある。 1949(昭和24)年再刊の『釣魚手帖』では夷隅川の魚類に、ボラ・ウナギ・ドジョウ・ コイ・フナ・ハゼ・エビ・クロダイ・アユ・ウグイ(ハヤ)・オイカワ(ヤマベ)を 挙げている(154pp)。 |
Reference Books. | ||
○2万分の1迅速図(長者町) | 1883(明治16)年04月測量 | |
陸軍参謀本部 | ||
○釣魚手帖 松崎明治 | 1949(昭和24)年01月25日 | |
丘書房 | ||
○日本の文学47 林 芙美子 | 1964(昭和39)年07月06日初版 | |
中央公論社 | ||
○千葉県統計年鑑(昭和42) | 1968(昭和43)年03月25日 | |
千葉県企画部統計課 | ||
○房総の文学めぐり | 1971(昭和46)年05月30日3版 | |
千葉県高等学校教育研究会編 富士出版印刷株式会社発行 | ||
○アカウミガメの浜 高橋 厚 | 1975(昭和50)年 | |
株式会社学習研究社 | ||
○女人風土記 房総の女 荒井愛子 | 1977(昭和52)年07月10日第1刷 | |
昭和図書出版株式会社 |