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| 0089 |
| 御所湖(ごしょこ)lake gosho. |
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| 岩手県盛岡市繋字山根・岩手郡雫石町 |
1地形図 | 雫石、鶯宿 |
分 類 | ダム湖(洪水調節用・不特定灌漑用・上水道用・発電用) |
別 称 | なし |
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JR秋田新幹線・田沢湖線小岩井駅より、南へ2km(ダムサイト)。 JR秋田新幹線・田沢湖線雫石駅より、南へ500m(上流部)。 東北自動車道路・盛岡ICから、国道46号線(秋田街道)を西進、 繋十文字信号を左折南下。 |
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| 6.4km2 |
| 9.8m(EL182.00−EL172.20) |
| 45,000,000m3 |
| 635.0km2 |
| 1981(昭和56)年10月 |
生息確認年月 | 2002(平成14)年04月28日確認 |
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貸しボートなし。コンビニは各所にあり。駐車場とトイレは、 @御所ダム管理庁舎(資料館)A盛岡手づくり村B塩ケ森水辺園地 Cのりもの広場DファミリーランドEわんぱく広場等にあり。 |
Special Feature | 岩手県の北上川流域は、寒い。 |
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時には、青森県・秋田県を凌いで、東北地方で一番の最低気温を記録したりする。 御所湖は3月中下旬に、やっと氷が緩み始める。 雫石盆地の一角に湛えられた湖面は、雄大で明るく開放的である。 群馬県の形が白鳥に例えられるように、御所湖を白鳥に例えてみれば、 頭は北東にあり、尾羽は西にある。 やや縮んだ両翼が、南北を向いている様子を想像願いたい。 左を向いた頭部が、ダムサイトにあたる。 細長い首に繋(つなぎ)大橋が、左翼付け根に元御所橋と安庭橋が、 右翼に町場橋が、尾羽付け根に御所大橋が、架かる。 メインインレット(流入部)は左翼に入る、雫石川(幹線延長40km・流域面積782km2)。 他方、尾羽方向からは南川(延長22.70km)が流入する。 それ以外のインレットも多い。 |
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水色は、ややクリアーだが、インレットは季節的にマッディーにもなる。水面はオープン。 ワンド・シャロー・ブッシュ・石積み護岸・コンクリート護岸・ベジテーション ・リバーチャンネル・ブレイク・岬・インレット等のストラクチャーがある。 ワカサギ・レインボートラウト・BASS等が生息。減水していれば、比較的釣りやすい。 満水なら、南岸の繋大橋南詰めや、北岸の塩ケ森水辺園地付近が 手軽だが、いづれもシャローであり、リバーチャンネルは遠い。 ダムサイトのダム資料室(一般公開)に、湖底の様子が示されている (湛水前航空写真)ので、見学すると良い。 御所湖の漁業権は、雫石川漁業協同組合(電話:019-692-0569)が持ち、 遊魚証はサンクス繋店(電話:019-689-2615)・キャメルマート御所湖(電話:019-689-2270) が購入に便利だろう(両店共国道46号つなぎ十文字交差点に所在)。 |
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■参考に岩手県内水面漁場管理委員会指示第1号を紹介しておこう。 曰く。 漁業法(昭和24年法律第267号)第67条第1項及び第130条第4項の規定に 基づき、水産動物の保護を図るため、次のとおり指示する(平成13年01月04日)。 岩手県内水面漁場管理委員会・会長・島川良彦 1 指示内容 オオクチバス、コクチバスその他のオオクチバス属の魚類及びブルーギルを、 2の区域において採捕した者は、これらをその区域に放し、又は生かしたまま その区域から持ち出してはならない。ただし、内水面漁場管理委員会が認め た者が試験研究に供する場合は、この限りでない。 2 指示の区域 県内の内水面における第五種共同漁業権の設定された漁場 3 指示の期間 平成13年03月01日から平成14年02月28日まで (岩手県報第10019号掲載) * * * 湖面は夏季を中心に、ウインドサーフィン・漕艇練習等に利用される。 一帯は県立御所湖広域公園に指定されている。 |
history. | 岩手県央を縦断し、宮城県に達し、太平洋へと注ぐ大河 |
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北上川(延長175.90km+54.0km)上流部(岩手県内)に、1941(昭和16)年、 北上川改修計画が立てられ、5ケ所のダム建設が立案された。 御所ダムは、石淵ダム・田瀬ダム・湯田ダム・四十四田ダムにつぐ、水系5番目の ダムで、支川雫石川に建設された。 1967(昭和42)年06月 御所ダム調査事務所開設 1969(昭和44)年04月 御所ダム工事事務所開設 1970(昭和45)年07月 御所ダム建設基本計画告示 1971(昭和46)年08月 補償基準発表 1971(昭和46)年12月 補償基準妥結 1972(昭和47)年03月 御所ダム本体建設工事契約 1973(昭和48)年03月 仮排水路通水 1974(昭和49)年04月 本体コンクリート打設開始 1978(昭和53)年09月 フィル堤体盛立開始 1980(昭和55)年07月 フィル堤体盛立完了 1980(昭和55)年07月 コンクリート堤体完了 1980(昭和55)年11月 試験湛水開始 1981(昭和56)年10月 竣工 1982(昭和57)年04月 御所ダム管理支所開設 |
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堤体は、右岸がコンクリート重力式、左岸が中央コアー型ロックフィルと珍しい複合型。 堤頂標高EL186.50m、堤高52.5m、堤頂長327m、堤頂巾10m、 堤体積はフィル980,000m3・コンクリート220,000m3。 総事業費488億円、事業者は国土交通省東北地方整備局、施工は鹿島建設と西松建設。 御所湖の総貯水量は、65,000,000m3。湖岸延長8.0km。 洪水時満水位EL182.00、常時満水位EL180.00、最低水位EL172.20で、 利用水深は、9.8m(182.00−172.20)である。 堆砂前の最大水深はダムサイトで、48.0m(182.00−134.00)に達するが、 堆砂後の最大水深は、9.8m(182.00−172.20)となる設計だ。 御所湖の流末は、雫石川を経て、盛岡市で北上川に合し、太平洋に注ぐ。 雫石盆地は陸地から深海へ沈み、再び隆起したが、その一部は陥没し「古雫石湖」となった。 今、その湖跡に、再び湖が出現するとは、なんという歴史の奇縁か。 更に、内陸市民の潜在的願望とされる海へのあこがれも、当地が一度は海であった史実 からすれば、海人(うみんちゅ)の末裔として引き継がれた本能とも言えよう。 |
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御所の名の由来は、次のように伝承されている。 南北朝時代の武将・北畠顕家(きたばたけあきいえ 1318-1338)の遺児は 源少将顯成と称し、26才で出家、奈良興福寺の僧となり、證意法眼と呼ばれ歌の達人であった。 その旧臣・橘左近将監の娘と、顯成の子が顯忠で、将監の弟・左膳に伴われ奥州 滴石に下り、北畠少弐と称し、その居所は滴石御所と呼ばれた。 由緒ある御所の名が、御所村を経て、御所湖としてよみがえったのは、ご同慶の至り。 さすれば、千葉県の御所谷津湖なども、往時は貴人の居所であったか。 時間が許せば、雫石町歴史民俗資料館(電話:019-692-2111入館無料)や、個人運営の 御所湖川村美術館(電話:019-692-5931¥500)にも、立ち寄りたい。 御所湖のビオトーブについては、桜井善雄が『生きものの水辺』の「夏のダム湖に 現われたパラダイス」(119pp)で詳述している。 |
Reference Books. | ||
○生きものの水辺 桜井善雄 | 1998(平成10)年04月25日 | |
新日本出版社 | ||
○わたしたちの御所ダム | 1999(平成11)年 | |
北上川ダム統合管理事務所御所ダム編・発行 | ||
○雫石盆地の地名 川崎義仲 | 2000(平成12)年06月2版 | |
心のふるさと第10集 雫石町教育委員会 | ||
○岩手県統計年鑑(平成12年度版) | 2001(平成13)年03月 | |
岩手県企画振興部統計調査課編・発行 | ||
○御所ダムの概要 | 2001(平成13)年10月 | |
北上川ダム統合管理事務所御所ダム編・発行 |