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| 0058 |
| 兼田貯水池(かねたちょすいち) Kaneta-Reservoir |
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| 千葉県香取郡東庄町窪野谷(香取郡干潟町万歳飛地) |
1地形図 | 小南 2232,2242, |
分 類 | 池(潅漑用) |
別 称 | 兼田(窪の谷)溜池 |
| JR成田線下総橘駅より、南西へ約4km。 東関東自動車道路佐原・香取ICを出て、"佐原香取IC入口"信号を 直進。県道香取・津之宮線を直進し、JR成田線を陸橋で越えて、 国道356号線の信号(T字路)を右折東進。 通称利根水郷ラインである。 東庄町に入り"利根大橋入口"信号を過ぎ、約1.2km先の信号右折。 JR成田線を下総橘駅の南で渡って、県道下総橘停車場・東城線に 入る。"西塚"バス停の信号を直進、県道小見川・海上線となり、 1.8km先の坂を下れば、右手一帯。 |
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| 約75,000u |
| 6m |
| 480,000m3 |
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| 原形は、1672(寛文12)年。 1992(平成04)年10月15日に、現在の姿となる。 |
生息確認年月 | 1995(平成07)年08月12日、未確認 1999(平成11)年09月15日、未確認 |
| 貸しボート・トイレ・売店なし。駐車場・説明広場あり。 |
Special Feature | 旧来より溜池だった場所を、掘り下げ造成された、幅150m・ |
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長さ500mの長方形の貯水池だ。
その周囲は、土手と低いフェンスに囲まれているが、 散歩するには問題はない。 辺地は、流行のコンクリート凸凹ブロック貼り。 水色は、富栄養化のグリーン系。 インレットは、2ケ所ある。自然水利のインレットは、北側の水門である。 |
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一方、貯水池より高い位置を通る、大利根用水からも、
潅漑期間にはゲートを通じ流入がある。揚水ポンプ設備を持つ。 東の山にはコサギが住み、水面には、カイツブリが泳ぐ。 狩猟と釣りは、残念ながら禁じられている。 コサギは、鮒・泥鰌・クチボソ・ザリガニ・蛙・ヤゴ等の餌を、 シャローで採り、カイツブリは、潜って小魚を水中で捕食する。 この貯水池には、シャローから中層・ボトム迄、魚類が生息する ことを鳥が証明している。 尚、水深は(立ち入れないので)実測ではなく、計算値である。 [有効貯水容量/湛水面積=推定水深] = 480,000/75,000=6.4mボトムが平坦なら、約6mの水深となるが、万一凸凹なら、最大 水深は10m以上になろう。危険だから、ゆめゆめ立ち入るべからず。 |
History | 椿の海の、北端の台地の裾に位置する。 |
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椿の海の、排水用に掘られた、新川 (流路延長20.5km,流域面積 120.0ku)・別称刑部川と、七間川(流路延長5.5km,流域面積 7.0ku)は、1670(寛文10)年12月28日完成。一帯の地質は沖積層である。 翌1671(寛文11)年3月、椿の海の、湖水は元の3割位に減る。潅漑の水が乏しいことを恐れ、 1672(寛文12)溜池14ケ所を周辺の各村に設置。 【服部重蔵 (椿新田溜井惣掘の事)海上町史研究18号所収】等によれば、兼田溜池は、上代村にあり面積9町5反・水利権は万歳村とある。 兼田 (窪の谷)溜池は、1884(明治17)年の大日本帝国参謀本部陸軍部測量局の迅速測量図「万歳村」に、その姿を見ることが出来る。 1902(明治35)年現在の水深は、2m(7尺)である。現在の池の名は、国営造成農業水利施設大利根用水兼田貯水池が正式。 |
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大利根用水は、 1925(大正14)年に、東庄町笹川地先に笹川揚水機場を設置・最大 10.33m3/秒を取水し、大幹線(5.1km)及び東・西幹線 (31.2km)を設けて潅漑する、利根川(流路延長322km,流域面積 16,840ku/別項参照)引水計画が基本となった。 1935(昭和10)年、県営大利根用水事業として着工。 1951(昭和26)年完成したが、当時は資材欠乏の時代でもあり、効果が不十分であった。 1970(昭和45)年、全面改修として340億円の巨費を投入。国営大利根用水農業水利事業に着工、同時に新川 (流路延長20.5km,流域面積 120.0ku)等の排水路改修・兼田貯水池(有効貯水容量480,000m3 )の新設・新川用排水機場新設がなされ、1992(平成04)年10月15日、完成を見た。 大利根用水は、総延長 55.5kmとなり、2市7町(八日市場市・旭市・香取郡干潟町・香取郡東庄町・海上郡海上町・海上郡飯岡町・ 匝瑳郡光町・匝瑳郡野栄町・山武郡横芝町 )9200haの用排水が改良された。 利根川からの潅漑用水取水事業は、北総東部用水事業 (橘堰の項参照)等がある。 |
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椿の海の周辺には、松の木溜池 (別項参照)・亀城池(別項参照)・長熊溜池 (別項参照)・八丁堰(別項参照)・袋の溜池(別項参照)・馬洗池 (別項参照)がある。元来の溜池を掘り下げ大改修、同一場所に重ねて、新しい水域を 築造する手法は、「水の道」の理に叶うものでもあり、 思いつくまま千葉県下の例を挙げると、表の通りである。
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「修溜池碑」(明治35年8月、小澤利勝題額)は、大利根用水 兼田操作室の前庭に建ち、静かに歴史を伝えている。 |
Reference Books. | ||
○千葉県統計年鑑(昭和42) | 1968(昭和43)年03月25日 | |
千葉県企画部統計課 | ||
○野鳥(野外ハンドブック4) 高野伸二 | 1979(昭和54)年04月15日2版 | |
山と渓谷社 | ||
○シラサギの森 田中徳太郎 | 1980(昭和55)年09月05日 | |
あかね書房 | ||
○八日市場市史 下巻 | 1987(昭和62)年03月31日 | |
八日市場市史編纂委員会 八日市場市 |