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| 0020 |
| 小中池(こなかいけ) Konaka-Pond |
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千葉県山武郡大網白里町小中 | |
1地形図 | 東金4082,4083, |
| 溜池(潅漑用) |
| 小中ダム 小中貯水池 |
JR外房線大網駅より、南西へ約3km。
県道千葉大網線(大網街道)を下り、"昭和の森入口"信号の つぎの信号(左ト)を、左折。 トンネルで大網街道を潜り、道なり。 2つ目のトンネルを抜けると、堰堤が見える。 | |
| (11.6町歩) |
| 14.5m |
| ・・・ |
| (265町歩) |
| 1947(昭和22)年02月。 |
生息確認年月 | 1991(平成03)年04月29日 |
| 貸しボート・売店なし。水洗トイレ・駐車場あり。四阿あり。 |
特 徴 Special Feature. | 南白亀川(なばきがわ/流路延長21.7km,流域面積107.3ku,)の支流、 |
小中川(流路延長11.5km,流域面積45.8ku,)の水源。 堰堤方向500m・奥行300mの三角形の池。 昭和の森(千葉市緑区)の後背地に位置する。 堰堤部は盛土に、内面コンクリート貼り。堤頂幅5m。 有効貯水容量1,014,000m3。ボトムは、土と泥。 コンクリート製の越流式余水吐けと、揚水ポンプ設備を備える。 潅漑用に、0.594m3/秒が取水される。 水没立ち木・横穴・湖底の溝・水中岬等ストラクチャーは豊富。 BASSは繁殖しており、マイクロサイズから50cmオーバー迄、 好みに応じた、釣りができた。 最近は、1984(昭和59)年08〜09月に大掛かりな水抜きが行われ、 湖底を晒した。 大型のブルーギル・鯉・ヘラブナも生息しているが、小中池公園(管理は 大網白里町)として整備され、釣りが禁止されてしまったことは、誠に遺憾。 |
由 来 History. | 1933(昭和08)年07月、九十九里地方に大旱害が発生。 |
1933(昭和08)年08月25日、小中川水利事業起工式。 1936(昭和11)年、小中川貯水池工事開始。 1947(昭和22)年02月、小中貯水池完成。 その後の経緯を1955(昭和30)年刊行の『山武地方誌』に見ると、 1953(昭和28)年〜1954(昭和29)年、県営事業(工費13,930,000円)として、 旧堤塘中心部の不完全羽金土の改善・裏小段上の腹付土の施行・堤高の 60糖嵩上による堤体の安全化を目的に改修工事施工。 (よしさん注:60糎嵩上の誤植か) 同誌に記載された小中貯水池の概要は、以下の通り(172-173ページ)。 ●溜池満水面積 11.6町歩 ●集水流域 直接流域194町歩 補助流域 71町歩 計265町歩 ●堤塘標高 18.176米 ●堤塘下巾 10.8米、堤塘上巾 5.4米、裏小段上下共巾 1.8米 ●余水吐 自明治37年至昭和27年の最大日降雨量301粍の80%を 毎秒12.3立方米の割合で12時間排除し、余水の害を除去出来るだけの 施設。即ち余水吐溢流堰長22.4米、溢流水深60糎とする。 ●取入斜樋 第1号 低地帯重点(土気町・大網町(旧大網町・山辺村・ 瑞穂村)・増穂村・旧福岡村・長生郡豊岡村) 受益面積4943町歩 スルースバルブ口径584粍・孔口間隔4.54米3ケ所 最大取水量0.928立方米毎秒 ●取入斜樋 第2号 高位置重点(旧瑞穂村・増穂村・長生郡本納町) 受益面積221町歩 スルースバルブ口径400粍・孔口間隔3.51米2ケ所 最大取水量0.441立方米毎秒 ●受益地域 山武郡土気町・大網町(旧大網町・旧瑞穂村・旧山辺村)・増穂 村・旧福岡村及び長生郡本納町・豊岡村の6町村で受益面積715町歩。
1960年代からは堰堤下に、神鋼フアウドラー製自動バルブレスフィルター (砂ろ過器)を備えた簡易浄水場の水源としても利用されたが、その後、 上水道が普及し、池の水は農業(灌漑)専用となった。 小中池は、小中川土地改良区が管理している。 大網白里町に、女ケ池(萱野・有料釣り場)があり、千葉市緑区に下夕田池 (小山町)・八幡池(大木戸町)・中島池 (同)・大薮池(越智町)・かぶと堰がある。 釣り禁止に納得のゆかぬ諸兄に、戦前の小中川下流、南白亀川のヘラブナ・ マブナ釣り場を紹介した、加納幸蔵の『鮒の釣場』をお勧めしよう。 |
【おまけ】 | さて、ここで巨匠の登場。開高 健に「山、辛く、人さらに辛し」という一文がある。 |
「ルアーの釣りは生餌の釣りにくらべると一匹一匹についての興趣と感激は お話しにならないくらい高いし、広いのだけれど、生餌で十匹釣れる ところがルアーなら一匹ぐらいだろうかと思われる。(中略) 一つの湖に住みついた魚はのべつルアーで攻められると、 キンキンピカピカにまったく無関心になる。 だから、毎年、スレていない新入生を大量に放流しないことには、 あの湖もこの川もたちまち釣れなくなる。 スレた、悪賢い、用心深い老武者の大物をダマしスカして釣りあげる妙味は 妙味として奥義の一つにかぞえたいが、やっぱり飽きない程度には 釣れてほしいとも思うのである。 だから釣師はどうしても穴場をかくしたくなるし、 ルアーも他人に教えてやりたくなくなってくる。 大物をあげるとどうしても吹聴したくなるが、さりとて穴場は荒されたくない とも思うから、人知れぬ悩みを味わうことになる。 しかし、聞くほうは聞くほうで日頃から本人の言動によく気をつけて いるので、何となくカンで嗅ぎつけてしまうものである。 湖の岸にちょっとはなれてたつと、キャスティングに夢中であるように 見せかけ、じつはそれは右の眼だけで、左の眼はすかさず隣人の 手もとをうかがって、どんなルアーを使ってるかとさぐるのである」 |
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おのおのがた、苦笑しつつ、思い当たるフシがあるようですね。 うふふ、世の中には自分と同じで「ようやる人もおりまんな」と 感心している場合ではありません。 巨匠のこの一文は1976(昭和51)年09月と、1977(昭和52)年06月に 発表された旧聞なのです。 |
Reference Books | ||
○鮒の釣場 加納幸蔵 | 1944(昭和19)年01月18日 | |
春陽堂書店 | ||
○山武地方誌 | 1955(昭和30)年06月20日 | |
山武郡町村会事務局 同会 | ||
○千葉県統計年鑑(昭和42年) | 1968(昭和43)年03月25日 | |
千葉県企画部統計課 | ||
○地球はグラスのふちを回る 開高 健 | 1981(昭和56)年12月20日第2刷 | |
新潮社 | ||
○大網白里町史 | 1986(昭和61)年10月01日 | |
同編纂委員会 大網白里町 | ||
○千葉県の自然史 本編1 千葉県の自然 県史シリーズ40 | 1996(平成08)年03月25日 千葉県史料研究財団 編 千葉県 | |
〇平田淳一・永野 歩 | 南白亀川の魚類・甲殻類目録(pdfファイル) | |
千葉県内水面水産試験場研究報告(7) | ||
50-53pp. 2000(平成12)年 |